『どこに行こうか…』



浦原商店を出てきたはいいが、一体どこへ向かえばよいのか夜は悩んでいた。
現世へとやってきた破面は四体。
ヤミー、ルピ、ワンダーワイスそしてグリムジョー。
ワンダーワイス以外は全員面識がある。



『ワンダーワイスのとこにするか』



霊圧を探ると、どうやらルピが楽しそうに戦っている。
相手はおそらく先遣隊の面々だろう。



『急がねえと…』



夜がワンダーワイスの霊圧を探ってたどり着いたとき、ちょうど彼が喜助に攻撃しようとしているところだった。



『喜助さん!』



とっさに刀を開放する。



『卍解…血霞の盾!』

「夜…サン?」



白月光華の力を使い、ワンダーワイスの攻撃を防いだ。



『悪い、喜助さんの技使わせてもらった』

「構わないっスよ。それより…いいんスか?」

『何が…』



やはり喜助は気づいているようだ。
夜が破面と戦いたくないと思っていることに。
さきほどもワンダーワイスに攻撃するのではなく、あくまでも攻撃を防ぐだけだった。



「何でもないっス。こちらはアタシたちで何とかしますから、夜サンはやるべきことをやってください」

『…ありがと』



その場を離れた夜は一護の霊圧を探る。
どうやらグリムジョーと交戦しているようだ。
近くにルキアと真子の霊圧もある。
きっと大丈夫だろう。



『やるべきこと、か』



向かった先は織姫の家。
家主はまだ帰ってきていないようだ。
夜は紙とペンを探して、織姫に宛てて手紙を書いた。



『待ってろ。必ず皆が助けてくれるから…』



そっとペンを置くと、夜は部屋を出ていった。



浦原商店へと戻った夜の目の前では、一角と弓親が騒いでいた。



『ったく、お前らは何処にいても煩えんだな…』

「夜!助けてよ、一角が!」

『一角も弓親も大人しく治療受けてろ!』

「俺のは元々大した怪我じゃねえんだよ!」

『大したモンじゃなくても怪我は怪我だ。治療されるのが気に食わねえんなら、怪我しねえくらいに強くなれ』



真面目な顔で冷たく言い放った夜に、二人は何も言い返せなかった。
表情の固い夜に喜助がそっと近づく。



「お二人とも、大人しくしててください。夜サンもちょっと落ち着きましょう?」

『…悪い』



きつく言いすぎたと二人に謝ると、夜は自室へと向かった。



「夜、大分落ち込んでるみてえだな」

『黙れ白…私がもっと早く帰ってきていれば、織姫を守ることができたのに…』



織姫が尸魂界から戻ってくる時にウルキオラと接触することはわかっていた。
それなのに防げなかった。
今の織姫の姿は破面にしか認識できない。



『私が織姫にしてやれるのはあれだけだったんだ…』

「夜の所為じゃねえよ」

「ほら黒もこう言ってることだし、これからどうするか考えようぜ!」



いまだ肩を落としている夜の姿を見て、月光華と黒は静かに部屋を出ていった。



「全く、世話の焼ける主人だな」

「そうだな…」



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