―ピピッ、ピピッ



携帯のアラームの音で目を覚ます。
まだ眠たい目を擦りながら携帯を手探りで探してボタンを押す。



『あれ…私なんでベッドに…』



―ガバッ



『ここは!?ここは…』



部屋を見渡すとそこは見慣れたはずの自らの部屋。
本棚には大学で使う参考書が並べられ、それとともに漫画も並べられている。



『嘘…だろ…』



自らの着ている服を思わず確かめる。
しかし当たり前というべきか否か、着ているのは部屋着であるジャージで。
夜は思わず溜息をつく。



『全部夢だったのか…?』



日付を確認すると、当然のことながらあの日の次の日で。
その事実は夜に今までの、漫画の世界での出来事が夢であったと思わせるのに十分であった。



『そうだ、話の内容!』



急いで“夢”の中で見た世界の話を確認するために漫画を手に取る。
しかしながら、そこに書かれているのは以前と寸分も違わない内容で。
“副総隊長”などという役職も当然のことながらでてきてはいない。
ふと、右手に違和感を覚えた。
目をやると、そこには確かに指輪が光っていた。



『違う…夢なんかじゃない…』



―現世



「浦原!月闇は居ないか!?」



珍しく浦原商店へとやってきた冬獅郎。
これまた珍しく血相を変えている。



「おや、どうしました?日番谷サン」

「月闇知らねえか!?さっき急にアイツの霊圧が消えた気がしたんだ!」



冬獅郎に言われて、夜の霊圧を探る喜助。
しかし、その表情もだんだんと険しいものになっていった。



「確かに…夜サンの霊圧をほとんど感じませんね」

「尸魂界に連絡しても帰ってねえって言うし、一体どこに行ったんだよ!」

「ちょっと落ち着きましょう。確かにほとんど霊圧は感じられませんが、少しだけなら感じます」



喜助についてくるように言われ、冬獅郎が向かった先は深い森の奥。
そこでふたりが目にしたものは、夜の斬魄刀である月光華だった。



「これ、月闇の…」

「間違いなく月光華ですね。此処にはわずかですが夜サンの霊圧の名残があります。恐らく此処から何処かへ行ったのでしょう。あるいは…」

「まさか、あいつ等に連れ去られた!?」

「はい。最も、その可能性はゼロに等しいとは思いますが」



喜助の言う意味がわからずに首を傾げる冬獅郎だったが、二人は再び浦原商店へと戻った。
月光華を手にして。



浦原商店へと戻ってきた二人は、夜の斬魄刀を前に無言でいる。
口を開いたのは喜助だった。



「日番谷サン、貴方口は堅いですか?」

「何だいきなり。俺は松本みたいにおしゃべりじゃねえ」



いつも以上に眉間に皺を寄せて不機嫌を露にする冬獅郎。
喜助は一つ溜息をつくと、何処かへ連絡をした。



「いいですか、今から来る人のことそしてアタシが話すことは他言無用です。絶対ですよ?」



喜助に真面目な顔で言われ、冬獅郎は静かに頷く。
その時だった、二人が居る部屋の障子が勢いよく開けられた。



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