西流魂街に降り立った夜はとりあえず瀞霊廷に入らなければと思い、死神を呼び寄せるために抑えていた霊圧を上げてみた。



『どれくらい上げれば気がついてもらえるんだろ…出来れば顔がわかる隊長格に来て欲しいし、全開にしてみるか』



ぶつぶつと独り言を呟きながら、霊圧を極限まで解放する。
思っていた以上に周りに影響があるようだ。
これなら隊長格が来てくれるだろう、そう思っていると…



「貴様…ここで何をしている」



一人の死神が現れた。
その死霸装の上には白の羽織。



「死神か?見ない顔だな…それにこの霊圧…一体何者だ?」

『私の名前は月闇夜、一応死神だ。てめえは朽木白哉だな?』



にやりと笑う夜。
一方、自分の名を知られていたためか朽木白哉は驚いてこちらを見ている。



「貴様…何故私の名を知っている?旅過か…」



言い終わる前に刀を向けてくる白哉。夜はその刀を手で受け止める。



『旅過…?まぁそうなるか。白哉、アンタに頼みがあるんだ。総隊長のところに連れて行ってくれ』



刀を止められたことにさらに驚く白哉は斬魄刀を解放しようとする。



「散れ…千『千本桜』」

『千本桜だろ?白哉の斬魄刀。刀を解放されちゃあ私も闘わないといけなくなる。でも、私はアンタと闘いたくないんだよ…アンタは敵じゃない』



白哉の目を見据えて言い放つ夜。
何か考えていた様子の白哉は夜に言った。



「わかった…総隊長殿のところへ連れて行こう。ただし、拘束はさせてもらう…縛道の四、這縄」



少し力を入れれば切れるような気がしたが、ここで余計なことをしても自体は悪い方向にしかいかないと思い、大人しくする。
そして、朽木白哉に連れられて、夜は一番隊へと向かう。
彼は終始無言だった。



「失礼致します、六番隊隊長朽木です。旅過を連れて参りました」

「うむ…入れ」



重そうな扉を開くと、そこには総隊長、山本元柳斎重國がいた。
やはり、総隊長だけあって霊圧も威厳もある。



「旅過とはその女のことかの?」

「はい…先ほどの強い霊圧もこの者であると思われます」

「そうか…旅過の女よ、お主は何者じゃ?」

『私は月闇夜といいます。信じていただけるかどうかわかりませんが、私はこの世界の者ではありません』

「ほう…ならばお主は現世の人間か?」

『いえ、私は異世界からこちらの世界に来た者です』



そして、夜はこの世界に来た経緯を説明した。
少し先の未来を知っていることも。
総隊長は少し考えていた様子だったが、すぐに此方を見て言った。



「ならばお主、死神になる気はないか?お主の霊圧は非常に高い。現にこうして今高い霊圧に当てられても平然としておる。その力を野放しにしておくのはもったいないからのう」



そう言って笑う総隊長。夜はほっとして肩の力が抜ける。



『山じ…じゃなくて総隊長、ありがとうございます』



夜は深くお辞儀をすると微笑んだ。



「ところで夜や、所属する隊の希望はあるかの?それぞれの隊のことは知っているようじゃからの」

『それなら…六番隊がいいです』



夜の言葉に目を丸くしたのは、他でもない六番隊の隊長だった。


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