―夜― ―起きろ、夜― 誰かに呼ばれた気がして目を開けた。 すると、そこは真っ暗な闇。 丸い月が浮かんでいて、その月の光の下に…誰かいる。 『あれ…?私、浦原さんとこに居た…よね?』 「ったく、いつまで俺のことに気づかねーんだよ。こっちはずっとオマエのこと呼んでたっつーのによ!」 顔を上げると、そこには綺麗な銀色の髪をなびかせた男の姿。 『貴方…誰?』 「俺?俺の名は――だ」 あれ、よく聞き取れない。 ちょっと待て。 この展開…まさか… 『貴方…私の斬魄刀?』 「そうだ、俺は夜の斬魄刀だ」 …私の斬魄刀!? ってことは私に死神の力があるってこと? 「もう一度言う、今度は精神集中させてよく聞け。俺の名は…月光華だ」 『月光華…』 「そうだ。ここは精神世界。俺はずっとオマエがここに来るのを待っていたんだ。もっとも、待っていたのは俺だけじゃないけどな…」 『他にも…いるの?』 「そうだ。この世界のことを知っている夜なら想像はつくだろう?そいつは『内なる虚』」 『そうなんだろ?』 「やっと口調が戻ったな。やっぱりいつもの話し方のほうが落ち着くぜ」 『なんだよそれ。で、その内なる虚サンはどこだ?』 「あいつはまだ出てこないぜ。でも、すぐに出てくる。夜が強くなれば、すぐに…」 そう言って月光華は消え、気づいたら私はベッドに居た。 斬魄刀…内なる虚… 本当に夢の中に居るみたいだ。 私が死神? 信じられない。 私はすぐに部屋を出ると、隣の浦原さんの部屋に行った。 『浦原さん!話があるんです!』 「何ですか〜おや、夜サン、どうしました?」 そして、私はさっき起こったことを話し、強くなりたいと言った。 …内なる虚の事を除いて。 「そーっスか!それじゃあアタシと特訓しましょ」 一瞬何かを考えるような表情をした浦原さんに気づくことはなく、私達は地下の勉強部屋へと向かった。 ←→ back |