「嘘…だろ…」

「何で俺が嘘つかなあかんねん。夜はそのことを知って藍染たちも助けようとしてんねや。あいつらも夜のことを敵とはみてないはずや。もっとも、夜が端から藍染たちを倒す気やったらとっくの昔にこないな戦いは終わっとる」

「それにしても、何で市丸サンまで向こうに行っちゃったんでしょうねえ…。彼は虚圏に居たはずなのに」

「それは…たぶん夜が着けとった指輪のせいやろ」



話すかどうか迷ったが、もしかしたら何かの手がかりになるかもしれないと思い、真子は夜がギンからもらった指輪を着けていたことを話した。



「指輪…ですか。でも、ただの指輪なら一緒に空間を移動してしまうほどの力はないと思いますが」

「しゃあけどあの餓鬼のことや、何か仕掛けがしてあるに決まっとる」



ほう…と言いながら、何か言いたげな様子で月光華を見る喜助。
その視線に気づき、月光華は言いにくそうな様子で話し出す。



「…絶対に口外するんじゃねえぞ?言ったら俺が夜に何されるかわかんねえんだからな。特にそこのチビ」



チビと言われ眉間の皺を深くする冬獅郎。



「チビと呼ぶな。俺は日番谷冬獅郎だ」

「悪いな、冬獅郎。夜が着けてるあの指輪は市丸と連絡が取れるようになってる。どうやって作ったのかは知らねえが、まだ尸魂界に居るときにアイツが渡してた」



月光華は話し終わると溜息をついた。
喜助と真子は元々夜の置かれている状況を知っていたので信用できるが、冬獅郎は果たしてこのことを護廷に伝えるのだろうかと不安に思っているのだ。



「そうか。安心しろ、俺はこのことを報告するつもりはねえ。たとえ藍染たちと通じていようとも月闇は俺らの仲間だ、アイツが俺らに刀を向けねえ限りはな」



冬獅郎の言葉を聞いて安心したのか、三人は緊張が解けたように表情が柔らかくなった。



「とにかく、これで少しは手がかりが掴めそうっスね!夜サンが居ないことは隠しておいてください。後々面倒なことになると思いますから」



喜助の一言でその場は解散となった。
冬獅郎と真子が帰った後の浦原商店、喜助と月光華は難しい顔をしている。



「一応結界は張っておきましたが、漏れちゃったみたいっスね」

「仕方ねえだろ。向こうだって頭が一人居なくなってんだからな」



そして虚圏、現世から戻った売る気おらは藍染に任務の報告をしていた。



「ご苦労だったね、ウルキオラ。成果を聞かせてくれるかい?」

「はい。現世の浦原商店に夜様の斬魄刀が居ました。話によると、どうやら夜様は市丸様とともに元居た世界に飛ばされたようです」



ウルキオラの話を聞いて怪しげに微笑む藍染。
まるで、こうなることを予想していたかのように。



「そうか。では、しばらくあの門を閉じていてくれるかい?私がこの前話した計画を実行に移す直前までね」

「しかしそれでは市丸様が…」

「ああ、彼は構わないよ。夜君と一緒に居れて喜んでいるだろうからね」

「…」



その後、ウルキオラは藍染に言われたとおりに自宮にある門を閉じた。



「すまないね、夜君。君を敵に回したくはないが、計画を邪魔されては困るのでね…」



一人複雑な表情で呟く藍染の言葉を聞いた者はいない。



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