「喜助!夜が消えたってどういうことやねん!?」

「てめえ誰だ…?」



入ってきたその人物は平子真子。
冬獅郎は見知らぬ人物に不信感を募らせる。



「おい、浦原こいつは…」

「チビは黙っとれ!それは夜の斬魄刀やないか!アイツ虚圏に行ったんやなさそうやな…一体何処に行ったんや!?」



一人でまくしたてる真子を喜助が止める。
冬獅郎はというと”チビ”と言われたことで完全に怒っている。



「平子サン、落ち着いてください。ほら日番谷サンも…」



喜助が一斉に二人に睨みつけられたのは言うまでもない。



「で、えーっとこのチビが護廷の隊長かいな。護廷も随分と変わったもんやなァ〜」



喜助から説明を受け、真子は冬獅郎をじろじろと見ている。



「そういうてめえは誰なんだよ?見た感じ人間ではなさそうだがな」

「ピンポーン!さすが隊長だけあって鋭いねんなァ。俺は平子真子、“仮面の軍勢”や」



“仮面の軍勢”という聞きなれない言葉に首を傾げる冬獅郎。
すかさず喜助が説明をする。



「“仮面の軍勢”というのは、簡単に言えば虚の力を持った死神のことっス。で、こちらの平子サンは元護廷の隊長で藍染の上司だったんスよ」

「喜助!余計なことは言わんでええねん!」

「隊…長だと?」

「ったく、確かに俺は元隊長や。せやけど今は死神とちゃう、お前らの味方でもない。ただ、俺らをこんな姿にした藍染の敵やっちゅうことは確かや。とにかく、今は夜のことや!」



真子に言われて喜助はそうでしたねと思い出したように自らの考えを話し出した。



「日番谷サンも、夜サンが異世界から来たことは知ってますよね?」

「ああ。アイツがこっちに来たときに聞いた」

「これはあくまでもアタシの推測なんですが、夜サンは元の世界に帰ったんだと思います」

「「元の世界に帰った!?」」



喜助の言葉に思わず声を上げる二人。



「それはなんや、夜が自分の意思で俺らんこと見捨てたっちゅうわけか!?」

「見捨てただなんて、人聞きの悪い。元々夜サンは此方の世界の住人じゃないんスよ?帰ったって不思議じゃあない」

「確かにそうだが…」



三人を沈黙が包む。
その時、三人の前に置かれていた夜の斬魄刀が突如光りだした。



「あ…お久しぶりっス!」



三人の前に現れたのは一人の男。



「久しぶりだな…浦原喜助」

「貴方がここに居るということはやはり…」

「夜は元の世界に戻った。…黒を連れてな」



その銀色の長髪の男は月光華。
夜の斬魄刀だ。
正体を知る喜助と真子は話の内容を理解しているようだが、冬獅郎には何のことだかさっぱりわからない。



「おい、コイツは何なんだ?」

「ああ、日番谷サンは知らなかったんスね。この方は夜サンの斬魄刀です」

「そうか。でも“黒”ってのは…」



説明を続けようとする喜助を止めたのは月光華だった。



「それは俺から説明する。月光華は元々虚の力も持った斬魄刀なんだ。“黒”ってのは俺と同じく月光華の本体で、アイツは夜の中の虚だ」

「“月闇の中の虚”…だと!?」



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