『ここ…か』



何もない空き地のように見えるその場所で、夜は一人立っていた。



『そういえば、私この結界の中入れんのかな?』



そっと手を伸ばし、結界に触れてみる。



―バチッ



『ああ…やっぱ普通に入るのは無理か。ちょっと手荒だけど仕方がない』



夜はすっと顔に手をかざす。
すると、夜の顔の右半分が仮面で覆われた。



『行くぞ、黒…』



夜の右手から光が放たれた。



―ドゴォォォ―



「何や今の!?虚閃!?」



結界が破壊されて見えるようになった倉庫の中から、真子が出てきた。



『ごめん、ちょっとやりすぎた』



その真子の目に、はは…と苦笑する夜の姿が映った。



「夜、オマエ…」



明らかに怒りを含んだような表情で夜を見る真子だったが、夜は気にせず倉庫の中へと入る。



『一護ーーーーーーー!』

「夜待てやコラァ!今一護は内在闘争しとんのや、邪魔すな!」



真子に止められて夜はムッとした表情を見せる。



『じゃあ私も手伝う!』



そう言うと、地下へと飛び降りた。



『うわっ、思ったより深い…』



飛び降りたはいいものの、予想以上に深い場所に作られた部屋に夜は驚いていた。



―トンッ



『みんな、久しぶり!』

「「「夜!?」」」



“仮面の軍勢”の一同がいっせいに夜を見る。



「先ほど私の結界を破壊したのは貴女デシタか、夜サン」



呆れたような表情をしているのはハッチ―有昭田鉢玄だ。



『だってハッチの結界って鬼道じゃ解けないんだろ?だったら破壊するしか…』



―スッ



『何すんだよひよ里!危ねえじゃねえか!』



いきなりひよ里が夜めがけて飛んできた。



「こんのハゲ!何も壊さんでええやろ!あのハゲでも呼びつけたらええやないか!」



ひよ里はそう言って、のこのこと下りてきた真子を指す。



『私もそう思って真子の携帯に電話したんだけど、繋がらねえんだよ!』



一同がいっせいに真子のほうを見る。
真子がポケットから携帯を取り出す。



「あ…電源切れとるわ…」

「こんのハゲ!この髪全部剃り落としたろか?あぁ!?」



ひよ里が今度は真子に突っかかっていった。



『相変わらず騒がしいところだな…』

「そうだね…」



夜に言われて苦笑するのはローズ―鳳橋楼十郎。



『今一護とやってんのは…拳西か?』



結界の中で戦う姿をちらりと見て、夜は言った。


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