放課後、夜たちは計画通り一護の家の屋根裏に侵入しようとしていた。 『冬獅郎は行かねえの?』 「行くわけねえだろ!お前らだけで行け」 『ノリ悪いな〜』 一護の部屋の真上に着き、一護が帰って来るのを待つ。 「一角!くっついてこないでよ暑苦しい!」 「うるせえ弓親!狭いんだから仕方ねえだろうが!」 『二人とも黙れ。気づかれるぞ』 そうこうしていると、一護とルキアが部屋に入って来た。 「さァとっとと教えろよ、“破面”ってのが何なのか!」 「待ちな…そいつは俺たちが教えてやろう」 ―カパッ 一護の部屋の電球がはずされ、夜たちが出てきた。 「おい!てめえらどっから入ってきてんだ!?」 『細かいことは気にすんな。ほら、説明するぞ』 ―“破面”とは、仮面を外し虚と死神二つの力を手に入れた虚の一団。 今までは未完成の状態であったが、藍染が崩玉に接触したことにより成体の破面が誕生した。 「当初尸魂界は静観するつもりだったが、今回二体の成体の破面が現世に来たことでそうもいかなくなった。そこで、俺らが派遣されたってわけだ」 恋次から一通りの説明を聞き、理解した様子の一護。 「で…なんでこのメンバーなんだ?」 『なんだ一護、私の人選に文句でもあんのか?』 一同を怪訝そうな顔で見る一護に夜は黒い笑みを浮かべる。 「いや、別にそういうわけじゃ…」 ―破面が現れた後、 尸魂界に戻ったら山じいにこの派遣の話を聞かされた。 とりあえず一護と親しいルキアは決まっていたから、ルキアに近しい恋次に声をかけた。 そしたら恋次が連れて行くなら一角だつーから一角に声かけたら、弓親と乱菊さんもついてくるって言い出して、私だけじゃ手に負えないだろうからって冬獅郎もついてきた。 「ピクニックかよ…」 呆れる一護の視界に銀髪が入ってきた。 「ともかく、てめーは確実に藍染に目ぇつけられてるってことだ。黒崎一護」 『あ、ノリの悪い冬獅郎だ』 「窓が開くのずっと待ってたんスか?それでなくても銀髪の小学生なんて目立つのに…」 「てめえら…」 口々に失礼なことを言う面々に冬獅郎は顔を歪める。 ―大虚の中には三つの階級が存在する。 ギリアン、アジューカス、ヴァストローデがそれだ。 特にヴァストローデの戦闘能力は隊長格より上。 そして、もし現時点で藍染の下にこのヴァストローデが十体以上居たら… 尸魂界は終わりだ。 「で…お前らいつ帰るんだ?」 「何言ってんだ?この戦いが終わるまでは現世に居るぜ」 「言っとくけど、ウチにはこんな大人数泊められねえからな!」 一護に家を追い出され、それぞれの目的地へと向かっていく。 『恋次は喜助さんのとこ行くんだろ?』 「ああ、聞きたいこともあるしな」 『私はあそこに部屋あるし、しばらく一緒だな』 にっこりと笑う夜に恋次は顔を赤くする。 「お、おう…」 『今日はあいつらがやってくる日、か…』 「何か言ったか?」 『いいや、何でもねえ』 ←→ back |