目が覚めると、白い天井が夜の目に入った。 どうやらベッドに寝かされているらしい。 『ここは…四番隊?』 「夜、目覚めたか」 目の前に白哉の顔があった。 『白哉!?私、どうして此処に…あいつらは!?』 「兄は市丸に刺されて気を失ったのだ。藍染たちは虚圏へと行った。“私が天に立つ”という言葉を残してな」 “私が天に立つ”か。 結局何も変えられなかった。 何も…できなかった。 ―ふわり 何かに包まれるような感覚を覚えた。 『白哉?』 「すまぬ…しばらくこのままで居させてくれ」 『ああ…』 「夜に礼を言おうと思ってな。あの時、私に自分の心に従えと言ってくれたからこそ、私はルキアを守ることが出来た。感謝している」 『白哉…』 「兄は何も変えられなかったわけではないぞ」 心の内を読まれたのか?と驚いている夜に白哉は一通の手紙を差し出した。 「夜、吉良がこれを兄に渡すように言っていた」 『手紙…?』 「おそらくそうであろう。では、私は行くぞ」 白哉は少し微笑んで部屋を出て行った。 『手紙なんて…誰からだよ』 開いた手紙には、綺麗な字で言葉が綴られていた。 ― 夜君へ 君に辛い思いをさせてしまってすまない。 君が私のことを避けていたのは知っていたんだ。 そんな子は珍しいから、すぐに君について調べさせてもらった。 そして、君が未来を知っていることに気がついたんだ。 君はとても強い。 出来れば私は君と戦うことはしたくない。 私が言っても信じてもらえないかもしれないが、私は君のことを敵だと思ったことは一度もないよ。 君が私に刃を向けるようなことがあれば、ギンにそれを阻止するように命令しておいた。 ギンなら君を殺すような真似はしないと思ったからね。 勝手だと思われるかもしれないが、君にこれを渡しておく。 これを使えばいつでも虚圏に来れるようになっているから、好きな時に使うといい。 また会おう。 藍染惣右介 ― 『藍染さん…』 夜は手紙と一緒に入っていた髪留めを握り締める。 『これを使えば、虚圏に行ける…?』 でも私がこれを使えば、此方の死神が虚圏に行くことも可能なのに。 何故“敵”である私にこんなものを? 『“敵ではない”か』 考えてもその答えは出てこなかった。 → back |