夜とルキアが一護と雨竜の元へ着いてすぐ、空が割れ始めた。



『来たか…ここは私が手出しするべきところじゃない』



そう言うと、夜はさっと姿を消した。向かった先は織姫とチャドの居る建物。



『二人とも、怪我はもう大丈夫?』

「「(夜ちゃん)(月闇)!?」」



突然現れた夜に驚く二人。
外を見ると、もう大虚が出てきているようだ。



『ごめんな、驚かすつもりはなかったんだけど。それより、しっかりとあいつらのこと見てな。そして、これからどうするかよく考えるんだ』

「夜ちゃんにも“アレ”が見えるの?」



不安そうに聞く織姫。



『ああ…しっかりとな。私も一護と同じ死神だからな』



夜は笑いながら答える。
じゃ、またな。そう言って夜は喜助の元へと急いだ
そして、喜助の元へやってきた夜の視界に一匹の黒猫が入った。



『夜一…さん?』



恐る恐る聞いてみると、返事が返ってきた。



「夜か。久しぶりじゃのう」



やはり、黒猫の正体は夜一だった。



「夜サン、どうしたんですか?そんな暗い顔して。せっかくのお顔が台無しですよ」



普段通りに振舞う喜助を見て、夜の中の何かが切れた。



『喜助さん…わかってるんだろ?さっきの大虚の出現、この間のテレビの件、恐らくルキアの居場所はもう尸魂界に知られている!なのに…なんでそんなに平然としていられるんだよっ!?』



そこまで言うと、夜は泣き崩れた。



『私は…私は全部知ってるんだ…明日の夜、ルキアは尸魂界に連れ戻されて、一護は死神の力を失う。私は…何をしたら「夜サンは尸魂界に戻って下さい」』

『えっ…?』



思いがけない喜助の言葉に驚く夜。



「いいですか、アナタには副総隊長という地位があります。もし、アナタがこのまま現世に留まりルキアサンの味方をしたら、恐らくアナタにも処分が下るでしょう」

『でも!私は処分なんか受けても「アタシが嫌なんっスよ」』

『は?』

「夜サンが処分を受けるなんて、アタシが嫌なだけっス。でもね、アナタの知ってる物語の中ではアナタがいなくてもなんとかなったんでしょう?ルキアサンが連れて行かれたら、恐らく黒崎サンはその後を追おうとする。アタシはその手助けをすればいい。違いますか?」



そうだ…確かに、物語の中では私が何もしなくても、一護は再び死神の力を手に入れてルキアを助けに来る…



『喜助さん…取り乱してごめん。私、尸魂界に戻るよ。戻って、向こうで一護たちの手助けをする』



そうっスか!とほっとしたように微笑む喜助。



「でも、無理はしちゃダメっスよ?」

『わかってるって!じゃあ、またな!』



夜は戻るなら早いほうがいいと言ってすぐに尸魂界へと戻っていった。



動き出した物語。
それぞれに待つ運命とは…


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