あまりにも嬉しくて、目の前の光景が信じられなくて。
この気持ちを何と言えばいいのか、私は今でもわからない。



「お、リナやんけ」



言葉とは裏腹に少しも驚いたような素振りを見せずに、その人は確かに私の前にいた。
100年以上前に座っていた、その席に座って、白い隊長羽織を着て、確かにそこに居た。



「何、間抜けな顔しとんのや」



言葉が出なかった。
知らせを聞いたのはつい先日のこと。
彼らの置かれている状況は承知していたがゆえに、喜んでもいいものなのか正直戸惑った。
けれども、今、確かに目の前に平子隊長がいて、ここは五番隊で、私は五番隊の三席で。



「リナ!」



気づけば平子隊長は私の前に立っていた。
昔と変わらず、ニッと笑って私の頭をぐしゃりと撫でた。



「平子……隊長なんですよね?」
「他の誰に見えんねん、阿呆か」



正真正銘、五番隊隊長の平子信子や。
そう言って私の目線に屈んだのはやっぱり平子隊長だった。
夢でも見ているのか。
そう思うほどに、私はこの人のことをずっと想っていたんだ。



「さよなら言うといて戻ってくるのもなんや、カッコ悪いけどな」
「そんな……嬉しいです」



それだけ言うのが精一杯だった。
思わず目の前の白い羽織に抱き着けば、しっかりと抱きとめられた。
それから声を上げて泣いた私の頭を、平子隊長はずっと撫でてくれていた。
昔と変わらない、優しい手で。


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