あの戦いから、もう1年以上が経つ。
彼が生きているとわかっただけでも夢みたいな話だったのに、今はこうしてあの頃と同じように同じ隊で、こうして毎日顔を合わせることができる。
少しずつ埋めていった、100年間の空白。
すぐに埋まらないことはわかっていたけれど、それでも少しずつ、ほんの少しずつでも確実に空白は埋まっている。



「桃!リナ呼んできてや」
「平子隊長、まだ仕事が……」
「ええやないか、今日はこれで終いや」
「でも……」



こちらも、少しずつ距離が縮まっているよう。
不服そうな表情をしながらも、五番隊副隊長雛森桃は、その人を呼びに行く。



「リナさん、平子隊長がお呼びです」
「もう?まだ終業時刻じゃないのに……」
「どうしても、ということなので…」
「いつもごめんね、桃ちゃん」



後輩である上司に謝罪を述べると、リナは急いで隊首室へと向かう。
遅くなれば、何を言われるかわかったものじゃない。
隊首室の扉を開けば、満面の笑みで彼に迎え入れられた。



「お、今日は早かったなァ」
「真子さんが呼んだんじゃないですか、あんまり桃ちゃんを困らせないで下さい」
「ええやないの、細かいことは気にせんと」
「細かくないです!」



いつもの光景。
こんな毎日が日常になるだなんて、思いもしなかった。



「真子さん、帰りましょう」
「何や、結局帰るんやないかい」



長い夜の果てに見つけたのは、幸せという名の日常だった。




END


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