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「姉様…父様も母様も居なくなっちゃったね…」

『そうだな…』



父様と母様が死んだ。
屋敷も燃えた。
残されたのは幼い妹と私だけ。
流魂街にでもでようか、このまま瀞霊廷には居られないであろう。



『鈴、流魂街で暮らそうか』

「姉様も一緒?」

『ああ、私も一緒だ』



そう言ってやると、妹…鈴は満面の笑みを浮かべた。
これからは私がこの子を守る。
両親が私たちを守ってくれたように。



「嬢ちゃんたち、暁家の者かの?」



知らない爺さんに声をかけられた。
死霸装を着ているから死神だろうか。
なにやら白い羽織を纏っている。



『…だったら何だ?』



怪しい。
まさか、あの時の生き残りか?



「安心するのじゃ。儂は護廷十三隊総隊長、山本じゃ」

『総隊長…?』



総隊長というと、一番偉い人だろうか。
そんな人がなぜ私たちに声をかけるのだ。



「襲撃により両親を失い、住む場所もないのであろう?どうじゃ、儂の家に来んか?」

『しかし…』

「姉様!このおじいちゃん悪い人じゃないよ!鈴わかるもん!」

「お主は鈴というのか。良い子じゃのう」



頭を撫でられた妹は嬉しそうな顔をしている。
このまま流魂街に出ても、いつ死ぬかわからない。
それなら、いっそのことこの爺さんについていってみようか。



『本当に…良いのですか?』

「無論。お主らの父上には世話になったからの」



こうして私たち姉妹は総隊長と名乗るこの爺さんの屋敷で世話になることになった。



「この部屋を好きに使ってよいぞ。屋敷の中も自由に使ってよいからな」

『ありがとうございます』

「なに、かしこまらんでもよい。そうじゃな…儂のことは祖父とでも思うのじゃ。孫が二人もできて嬉しいのう」



声を上げて笑う爺さんを見ると、妹の言った通り悪い人ではなさそうだ。



「ありがとう、おじいちゃん!」



爺さんに飛びつく妹。
両親が居なくなって、甘えられる人が居なくなった。
喜ぶのも無理はないだろう。



『ありがとう…おじいちゃん』



それから爺さんは仕事があるといって屋敷を出た。
代わりにやってきたのは派手な着物を着た男と白髪の男。
じいさんと同じように白い羽織を纏っている。



「おやおや、山じいに呼ばれたと思ったら子守かい?」

「京楽、子守って…」



白髪の男が信じられないといった様子で下を向いたとき、ちょうど私と目が合った。



「だろ?」

「…そのようだな」

『誰?』



私は目の前の男たちに尋ねた。
すると、二人ともかがんで私たちの目線に合わせてくれた。



「はじめまして。僕は京楽、京楽春水だよ。山じいの教え子で、今は護廷の隊長だ」

「俺は浮竹十四郎だ。京楽と同じく先生の教え子で隊長だよ」

「暁鈴です!」



元気よく名乗る妹をちらりと見ると、私もその男たちに向って名を名乗った。



『暁…優奈』

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