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『白哉、相変わらずだな』



夜一さんに逃げられてしまったのか、白哉が私たちの元にやってきた。



「優奈こそ、相変わらずあの化け猫と仲が良いのだな」

「白哉、そのような口を聞くでない」

『良いのです。白哉も瞬歩が上手く使えるようになったものだな。…まだ夜一さんには及ばぬようだがな』



そう言ってやると、白哉は額に青筋を立てた。
やはり、すぐに熱くなる癖は変わっていないらしい。
けれども、この歳でこれだけの実力があるのだから、成長した時が楽しみだ。



「優奈、そろそろ戻るぞ」



夜一さんに呼ばれ、私は席を立った。



『また遊びに来るからな、白哉』



私より背の低い白哉の頭を一撫ですると、手を払いのけられた。



「…子供扱いするな!」

『ふっ…まだ子供であろう?』



まだ喚いている白哉を背に、私たちはニ番隊へと戻った。
ニ番隊に戻ると、懐かしい人に会った。



「あら、優奈サンじゃないっスか!」

『喜助か、久しいな』



この男、ニ番隊三席の浦原喜助は夜一の幼馴染だ。
私も幼い頃は何度も一緒に遊んだ。



「どうっスか、副隊長は?」

『大変だ。隊長と三席の板挟みでな』

「三席というと、藍染サンっスね?」



平子隊長と相性が悪そうだという喜助に優奈も頷く。
すると、一羽の地獄蝶が飛んできた。



『悪い、隊長から呼び出しだ』



優奈は急いで五番隊へと向かった。



『如何なさいましたか…京楽さんに浮竹さんまで』



五番隊に戻ると、平子隊長だけでなく京楽さんと浮竹さんも居た。



「優奈もこの前十番隊長と副隊長が殉職したんは知っとるやろ?」

『はい…』



先日、任務中の十番隊隊長とその副官が命を落とした。
隊長格が一気に二人も抜けて、瀞霊廷は大騒ぎになったのだ。



「それでね、優奈ちゃんに新しい隊長になってもらおうと思ってさ」

『私が…ですか?』



京楽さんの言葉に驚いて平子隊長を見ると、隊長はいつものようににっと笑ってみせた。



「優奈なら大丈夫や思ってな。優奈んことよう知っとる京楽さんと浮竹さんに相談したんや」

「俺も、優奈ならやれると思うよ」

『でも、山じい…総隊長が…』



私が副隊長になると言った時も反対していた山じいが、隊長になると言ったら一体何と言うか。
反対されるに決まっている。



「山じいのことなら僕らに任せてよ。鈴ちゃんだってきっと賛成してくれると思うしさ」



京楽さんにそこまで言われると、断るに断れない。
私は渋々ながら首を縦に振った。
京楽さんと浮竹さんはすぐに隊首室を出て行き、残されたのは私と平子隊長の二人。
平子隊長がおもむろに口を開いた。



「なァ優奈、隊長になったら真子って呼んでや。敬語もなしやぞ?」

『そんなことできませんよ。平子隊長は尊敬すべき上司ですから』



私が死神になる前から、平子隊長は私にとって憧れの人だった。
私たちの住む屋敷にたまにやってきては他愛もない話をしていた。
一度だけ平子隊長が戦っている姿を見た。
その姿があまりにも華麗で、まだ幼かった私は思わず目を奪われてしまったのだ。



『それに…まだ試験に合格したわけではありませんから』

「そんなの、合格するに決まっとるやないか。新しい副隊長だって決めてんねんぞ」

『惣右介…ですか?』

「まあな」



当然の人選であろう。
元々、惣右介と私はそこまで力の差があるわけではない。
しかし、本当の自分の斬魄刀の能力を惣右介が隠しているせいか、私のほうが数倍強いと周りは認識しているようだ。



『それなら安心ですね』



その次の日、早くも私の隊首試験が行われた。
無事に合格し、晴れて私は十番隊隊長となったのだ。

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