>> 7 護るべきものとは一体何なのか。 私はあの日からずっと考えていた。 両親が死に、鈴と二人になってからは、鈴を護るために強くなった。 そして鈴がいなくなってからは隊長として隊士を護るために強くなった。 だがそれすらもなくなった今、私に存在する理由などあるのだろうか。 ―自由に生きるといいよ 自由とは一体何なのか。 私が望むままに生きるということか? 今の私が望むのは… 『惣右介…』 思えば、霊術院の屋根の上で会ったあの時から、私の運命は決まっていたのかもしれない。 親の仇を愛し、その為に死にゆくことが。 それならば私は甘んじて受け入れよう。 山じいには悪いことをした。 鈴のみならず私までも失わせてしまう。 京楽や浮竹もまるで娘のように可愛がってくれていたのに、悲しむだろうか。 白哉や冬獅郎はまた突然居なくなる私を許してくれるだろうか。 乱菊は一人で大丈夫だろうか。 『皆…すまない』 ゆっくりと開かれた扉の先には、優しい目をした人があの日と同じように立っていた。 END prev//next back |