>> 5 『鈴…私はどうしたらいいだろうか』 妹の眠る丘に私は座っていた。 私の所為で妹は両親を亡くし、自らの命までも失った。 このことを知れば私を怨むだろうか。 返事はない。 『それでも私は愛しているんだ…』 あの時、無意識のうちに黒崎という死神代行から惣右介を庇っていた。 そして、惣右介が捉えられたと聞かされた時、まだ生きているということに心のどこかで安堵した。 大逆の罪人であるあの男を、私から全てを奪ったあの男を、どうやら私は愛してしまったらしい。 『許してくれるか?鈴…』 やはり返事はない。 私は立ち上がり、その場を後にした。 『元十番隊隊長、暁だ』 重々しい扉の前で名乗る。 しばらくの後、扉がゆっくりと開かれた。 「何の用だ?」 顔を隠した四十六の者達。 その視線が私に集まる。 『地下監獄最下層、第八監獄“無間”への立ち入りを許可して頂きたく参りました』 「ならぬ」 答えは分かっていた。 それでも、私は引くわけにはいかなかった。 『もちろんただでとは言わない。貴方達は私の力を脅威に思っているのだろう?この暁家の当主としての力を。それがここで潰えるのだとすれば、どうだ』 しばらくこそこそと話し合っていた面々だったが、やがて一人が口を開いた。 「よかろう。お前の命と引き換えに立ち入りを許可する」 そうして私は惣右介のいる監獄へと足を踏み入れた。 prev//next back |