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尸魂界に戻った私は、実家のあった場所へと向かった。
瀞霊廷の外れに位置するその場所は、百年以上経った今もひっそりとたたずんでいた。
中に足を踏み入れると、埃まみれで咳き込んでしまう。



『懐かしいな…』



まず向かったのは、あの日、何も知らなかった私が寝ていた自室。
部屋に入った瞬間に、他の場所とは違う様子に気が付いた。

この部屋にはもう何年も誰も足を踏み入れていないはずだ。
それなのに、玄関や広間のように埃にまみれているわけではなく、あの日と同じように綺麗に整えられていた。
それはまるで誰かが私の部屋を綺麗に保存しようとしていたかのようで、思わず背筋がぞくりとした。

平子に聞いた話が脳裏をよぎる。
目の前の状況は、それが真実であることを物語っているように思えた。
ふらつく足を何とか持ちこたえ、私は斬魄刀に手を添えた。
きっと、これは私が剣を抜く最後だ。
私は再び現世へと戻った。



『これは…結界か?』



現世に戻ると、私がいた街の周囲に結界が張り巡らされていた。
中から感じるのは懐かしい霊圧。
この中で何かが起こっているのは間違いがなさそうだ。



『小癪な…』



結界をすり抜けようとするが、頑丈に張られていてなかなか破れない。
それでも徐々に中が見えてきて、私は足を踏み入れることができた。
そこで目にしたのはまさに地獄絵図だった。



「暁…隊長…?」



真っ先に目に飛び込んできたのは、かつての部下の姿。
私が譲り渡した白い羽織は、真っ赤に染まっていた。



『冬獅郎…久しいな』

「申し…訳ない…です…俺が…」

『喋るな、傷に響く』



治してあげたいが、生憎私はその術を持っていない。
じきに卯ノ花がやってくるだろうと思い、私はその場を後にした。
そして、ここに来た目的であるその人物の元へと向かう。



『貴様は惣右介なのか…?』



霊圧は確かに惣右介なのだが、その姿は私の知る彼ではなかった。
そして、その傍らにはギンがいた。



「優奈…久しぶりだね。病気で療養中と聞いていたが?」

『お前のような不埒な輩がいると聞いてな、おちおち寝ても居られなくなった』

「そうか。君は私を斬るつもりなのかい?」



惣右介は私が構えた斬魄刀を見た。
その切っ先は惣右介に向けられている。



『そうだな、仇をとらないと死ぬに死ねないからな』



その一言で、惣右介は私があの事を知ってしまったということに気づいたようだった。



「滑稽だな。君に私が斬れるのかい?」

『さあな。だがその言葉は惣右介に返す。お前に私が斬れるのか?』

「それはやってみないとわからないな」



二人同時に地面を蹴った。

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