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霊術院での六年間はあっという間で、私は無事に卒業を迎えた。



『惣右介は何処の隊に行くか決まったのか?』

「ああ、私は五番隊だよ」

『奇遇だな、私も五番隊だ』



私がそう言うと、惣右介はひどく驚いたような顔をした。



『何か可笑しいか?』

「いや、君はてっきり一番隊に行くものだと思っていたからね」

『何故、わざわざ山じいの隊に行かねばならぬのだ。断ってきた』



君らしいなと笑う惣右介を見ながら、私も思わず声を上げて笑う。
桜の蕾が膨らみ始めた頃だった。



『失礼します』

「優奈か、入りや」



それから何年経っただろうか。
私は五番隊の副隊長になった。
同期の中では一番の出世だった。



『お話、とは何ですか?』

「惣右介のことなんやけどな…」



ある日、私は平子隊長に呼ばれて彼の自室へと来ていた。
隊首室では話せないようなことなのだろう、そう思ってはいたが、隊長の口から出てきたのは私の友人の名前だった。



『惣右介がどうかしましたか?』

「優奈はアイツと仲ええやろ?しゃあからアイツの見はりを頼みたいんや」

『見はり、ですか…』



了承したものの、私から見て惣右介に何か怪しげな様子があるとは思えなかった。
きっと、あの裏表のある惣右介の裏の部分に気づいた隊長が気にしているだけだろう、そう思っていた。



「珍しいじゃないか、君から誘ってくるなんて」

『そうか?最近は忙しかったからな…』



その数日後、私は惣右介と料亭で食事をしていた。
私が副隊長になってすぐに惣右介も三席になり、お互い忙しい毎日を過ごしていた。



「平子隊長から何か言われたんだろう?」

『…何故それを…』



驚く私を見て、惣右介はふっと笑った。
私は惣右介のこの顔が好きだ。
普段周囲に見せているような温和な笑みではなく、どこか人を見下したような笑み。
それは私しか知らない彼の本当の姿だった。



「隊長が私のことをよく思っていないのには気づいていたからね。対照的に君は気に入られているようだけど」

『そうでもないと思うがな。ひよ里が私のことを気に入っているからであろう』



十二番隊の副隊長、猿柿ひよ里はなぜか私のことを気に入っているようで、事あるごとに五番隊に訪れる。
平子隊長はひよ里と仲がいいため、必然的に私との会話も増えた。



「まあ、私みたいに嫌われるよりはマシだろう?」



それもそうかもしれないと思いながら、酒に手を伸ばした。



「そういえば、妹さんは元気かい?」

『ああ、最近会ってないが山じいから元気だと聞いているよ』



副隊長になってから、私は家を出た。
仕事の量も増え、家に帰れない日々が続いたためだ。
今はたまに妹の顔を見に家に帰っている。



「鈴ちゃんも綺麗になっただろうね」

『惣右介には渡さぬからな』

「…怖い姉君だね」

『黙れ…』



妹は私の光だ。
両親を失った私にとって唯一の…

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