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五番隊を出ようとしたところで、惣右介に呼び止められた。



「どうだい?あの三人は」

『なかなかだな。お前のことだ、最初から目を付けていたのであろう?』



そんなことないよ、と言いながらも、口元が緩んでいる。
まるで玩具を見つけた子供のようであった。



「今夜、お邪魔してもいいかい?」

『ああ、何か用意しておく』



部屋へと向かう途中、惣右介の好きなものは何だったかと思い浮かべる。
何も思い浮かばなかった自分に思わず苦笑いしてしまった。
百年以上の仲であるのに、私は惣右介のことを何も知らない。



「優奈さん!」



振り返ると、そこには乱菊と冬獅郎が居た。



『乱菊、冬獅郎の世話を頼んで悪いな』

「いいえー、聞いて下さいよ日番谷ったら…」

「松本副隊長!暁隊長は非番なんですから行きましょう!」



なぜか慌てている冬獅郎は、乱菊を連れて走っていった。
あの二人になら、安心して隊を任せられる、そう思った。

夜、ドアをノックする音に気が付き玄関へと向かう。



「お邪魔するよ」

『どうぞ』



この部屋に来るのは久しぶりだねと言いながら、惣右介は手に持った何かを差し出した。



「手ぶらでくるのも悪いかと思ってね」

『構わずともよかったのに。食事は済んだのか?』



まだだという惣右介を食卓へと誘い、準備していた夕飯を差し出した。



『あまり手の込んだものは作れなくてな』

「十分だよ。君の手料理が食べられるだけで」



こんな言葉を惣右介に吐かれようものなら、誰でもこの男の手に落ちてしまうだろうと思い、思わず笑ってしまった。
そんな私を見て、惣右介も笑う。



「残念ながら本心さ」

『そうか、私は幸せ者だな』



お互いに一線を引いた関係。
それが私達だ。

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