>> 6 「暁隊長!?」 素っ頓狂な声を上げた赤髪の死神が、急いで頭を下げる。 残りの二人も、一歩下がって頭を下げた。 『面を上げてくれ。別に叱りに来たわけではないのだ』 努めて優しく言うと、私は三人のうちの一人の少女に声をかけた。 『お前が雛森か?』 「は、はい!雛森桃です!」 そうか、この少女が… 『冬獅郎が世話になっていたそうだな』 「シロ…日番谷君とは幼馴染です!」 『そうか。これからも冬獅郎を頼むぞ。ところで…お前たちも名を教えてくれないか?』 私は、隅で固まっている二人に声をかけた。 こちらに来て座るように、と。 『阿散井と吉良か。吉良…お前、吉良家の者か?』 吉良という名に聞き覚えがあり、尋ねてみた。 すると、少年はこくりと頷いた。 『なるほど、顔立ちが静殿に良く似ておる』 少年の頬に手を当てて顔をよく見ると、少年の母にそっくりであった。 「あ、あの…暁隊長は母をご存じなのでしょうか?」 『ああ。幼い頃に遊んだことがある』 まだ両親が健在のころであった。 家同士で交流があり、幼かった私たちはよく共に遊んでいた。 その後、私は山じいに引き取られて会うこともなくなったが、風の噂で吉良家に嫁いだと聞いていた。 『静殿は元気か?』 「母は…亡くなりました」 少年は俯きながら言った。 『そうか…辛いことを聞いたな。すまぬ』 「い、いえ!」 『イヅルといったな。吉良と呼ぶのはどうも憚られる。下の名で呼んでも構わないか?』 こくりと頷く少年は、やはり母にそっくりであった。 prev//next back |