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「暁隊長!?」



素っ頓狂な声を上げた赤髪の死神が、急いで頭を下げる。
残りの二人も、一歩下がって頭を下げた。



『面を上げてくれ。別に叱りに来たわけではないのだ』



努めて優しく言うと、私は三人のうちの一人の少女に声をかけた。



『お前が雛森か?』

「は、はい!雛森桃です!」



そうか、この少女が…



『冬獅郎が世話になっていたそうだな』

「シロ…日番谷君とは幼馴染です!」

『そうか。これからも冬獅郎を頼むぞ。ところで…お前たちも名を教えてくれないか?』



私は、隅で固まっている二人に声をかけた。
こちらに来て座るように、と。



『阿散井と吉良か。吉良…お前、吉良家の者か?』



吉良という名に聞き覚えがあり、尋ねてみた。
すると、少年はこくりと頷いた。



『なるほど、顔立ちが静殿に良く似ておる』



少年の頬に手を当てて顔をよく見ると、少年の母にそっくりであった。



「あ、あの…暁隊長は母をご存じなのでしょうか?」

『ああ。幼い頃に遊んだことがある』



まだ両親が健在のころであった。
家同士で交流があり、幼かった私たちはよく共に遊んでいた。
その後、私は山じいに引き取られて会うこともなくなったが、風の噂で吉良家に嫁いだと聞いていた。



『静殿は元気か?』

「母は…亡くなりました」



少年は俯きながら言った。



『そうか…辛いことを聞いたな。すまぬ』

「い、いえ!」

『イヅルといったな。吉良と呼ぶのはどうも憚られる。下の名で呼んでも構わないか?』



こくりと頷く少年は、やはり母にそっくりであった。


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