>> 5 それから一年後、また春がやってきた。 我が十番隊にも新入隊士が入ってきた。 「優奈さん!時間ですよ!」 『わかっておる。そう急かすな』 慌ただしく準備をする乱菊を他所に、最近惣右介に教えてもらった煙管とやらをふかした。 集まった新入隊士の顔ぶれの中には、あの少年が居た。 一年で霊術院を卒業した天才、周りはそう騒ぎたてた。 『乱菊、日番谷冬獅郎を呼べ』 「あの少年ですね。わかりました」 乱菊は急いで隊首室を出た。 戻ってきた時には、後ろにまだあどけなさの残る少年を連れていた。 私は少年と乱菊に座るように言うと、再び煙管に火を付けた。 『久しぶりだな、冬獅郎』 「お久しぶりです」 冬獅郎はどこか緊張したような声音で答えた。 一年前より随分と霊圧が上がったようだ。 『もう始解は修得したようだな』 何故それを?と言いたげな冬獅郎に、私はにっこりと笑って見せた。 『これでも一応は隊長だ』 私は冬獅郎に十の席次を与えた。 とある非番の日。 私は五番隊へと出向いた。 死霸装を着ず、帯刀もしていない私の様子に、すれ違う隊員たちはやや驚いているようであった。 『惣右介、入るぞ』 「優奈か、珍しいね。今日は非番かい?」 ああ、と言い、私は椅子に腰を下ろした。 今日ここにきたのは他でもない、冬獅郎のことだ。 『惣右介、五番隊に雛森という隊士は居るか?』 「ああ、雛森君だね。彼女がどうかしたのかい?」 『今どこにいる』 鍛練場にいると思うよ、という返事を聞くと、私はその場所へと向かった。 感じとれる霊圧は三つ。 友人と鍛練をしているとでもいったところであろうか。 「おらおら〜もう終いか?」 『ならば、私が相手をしようか?』 驚いた三人の表情がおかしかった。 prev//next back |