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「いいんですか〜あのまま放ってきちゃって」

『構わぬ。あの少年が決めることだ』



先日出会った霊力の高い少年。
名も知らないが、綺麗な瞳をしていた。
あの日、私は霊術院に入れとだけ言ってきた。
その先はあの少年が決めるべきこと。



『霊術院にも手は回してある。銀髪で碧眼の少年が入学したら知らせがくる』



その知らせは意外にも早くにやってきた。
新入生であり、そして、将来の席官候補になりうるという情報とともに。



『乱菊、散歩に行ってくる』

「散歩ですか!それなら私も一緒に…」



言い終わる前に隊首室には乱菊一人になっていた。



「全く、一人だけ抜け駆けするなんて」



渋々筆を取り、職務の続きをこなす乱菊であった。



『暁だ。先日話した少年に会いたいのだが』



少々お待ち下さいと恭しく頭を下げられると、私は客間に通された。
此処に来るのはギンに初めて会った時以来か、と小さく呟く。
あれからどれほどの時が経ったのであろうか。



「暁隊長、連れて参りました」



言葉とともに入ってきたのは、間違いなくあの時の少年だった。
私は教官に席を外すように言うと、少年に座るように促した。



『久しぶりだな、少年。私は十番隊隊長、暁優奈だ』

「…隊長だったのか」



少年は驚いたような表情をした。
やはり、まだ幼い。
私は思わずギンを思い出す。



『名を教えてくれないか?』

「日番谷冬獅郎だ」

『冬獅郎、か。いい名だな』



冬獅郎が少し微笑んだような気がした。



「失礼ですが、護廷の隊長さんが俺に何の用ですか?」



訝しげな表情で冬獅郎が問うてきた。
無理もない。
まだ入学したての学生に隊長が直々に会いに来るなど、滅多にないことだ。



『用件は一つだ。卒業したら十番隊に来い』



碧い瞳を見開いて、冬獅郎が私を見た。



『お前には素質がある。私はお前に後継者となってほしいのだ』



素質?後継者?
今頃、冬獅郎の頭の中は混乱しているだろう。
私はふっと笑みを漏らして、席を立った。



『いいか、このことは口外するでないぞ。雛森という少女にも、だ』



まだ混乱しているであろう冬獅郎を残して、私は十番隊へと戻った。

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