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それから一年ばかりの時が過ぎ、白哉が隊長に就任することになった。
それと時を同じくして、ギンも三番隊の隊長になることになった。



「お世話になりました、暁隊長」



白哉にそう呼ばれるのも慣れてきた。
彼は緋真の妹、ルキアを義妹として朽木家に迎え入れた。
今は霊術院の学生をしているそうだ。



『今度、緋真の妹に会いに行ってもよいか?』

「はい、きっと喜びます」



ルキアのことを話す白哉は柔らかい顔をしていた。
緋真の妹も、彼女に似て柔らかな空気を持った女性なのだろう。
私は彼女に会いに行くのが楽しみだった。
白哉が出ていった後、バタバタと廊下を走る音が聞こえた。
こんなことをするのは彼女くらいであろう。



「優奈さん!ギンが…隊長になるって本当ですか!?」



思った通りだった。
私は静かに頷くと、彼女が今入ってきた扉を指さした。



「久しぶり、優奈サン」



にこやかに笑う彼は、三の数字の印された羽織りを纏っていた。



「ギン…」

「ちょっ、何泣いとんの乱菊!ボク何かした?ねえ優奈サン!」



ぽろぽろと泣きだす乱菊を見て、慌てるギン。
滅多に見られないその光景に、思わず笑みが零れる。



『泣かせておけ。嬉しいのであろう』



まだ困惑気味のギンの肩にそっと手を置く。
幼かった頃とは違い、がっしりとした肩だった。
これから一つの隊を背負うことになるのだ。



『ギン、道は誤るな』



ギンははっとした顔でこちらを見た。
私が何を言わんとしているのか、わかったようだった。
無言で頷くと、まだ泣いている乱菊をあやすように抱きとめていた。



幸せな時間に、刻々と終わりが近づいていた。

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