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「優奈、私は君と戦いたくないんだ。仲間にならないかい?」



仲間とは一体なんだ。
私にこの尸魂界に盾突けというのだろうか。
育ての親である山じいも、今まで良くしてくれた京楽さんも浮竹さんも、皆を裏切れというのだろうか。



「返事はすぐにとは言わないよ。君は今日何も見ていない、待機命令に従い隊に居た、そう思えばいい」



ふっと笑うと、惣右介達は去っていった。
私も、何だか此処に居てはいけないような気がして隊舎へと戻った。

次の日、喜助と鉄裁が逃亡したとの連絡が入った。
“実験台”とされた五人の隊長格を連れて。
そして、その幇助をした夜一さんも姿を消した。

何だろう、何故だか一気に世界が白黒になったような気がした。
妹を失って一度色を失くした私の世界。
再び色づき始めたと思っていたのは勘違いであったのだろうか。
とっくに失ったと思っていた、人を失うことの悲しみを再び突き付けられている私の元に、訪問者が現れた。



『ギン…』


隊首室に訪れたのはギンだった。
まるでどこかで悪さを働いてきた後の子供のような、そんな顔をしていた。
もっとも、実際そうであるのだが。



「優奈サン…」



ギンの言葉はそれ以上続かなかった。
いや、私が続けさせなかった。
私はギンに近づくと、その頬を思いきりひっぱたいた。



『お前たちが何をしようとしているのか、私にはわからない。いや、わかりたくもない。惣右介に伝えておけ、私はお前たちの仲間にはならぬ、と』



ギンはその言葉を聞いて、うっすらと涙を浮かべながら出て行った。
ちくちくと心が痛むような気がした。
しかし、私にはこうする他なかった。
仮にも一隊を預かる隊長である私に、他の道などとれるはずもなかった。



『一体どうなっているのだ…』



それから数週間が経った。
“仲間にはならない”という私の言葉を聞いたはずの惣右介は、何もしてこない。
顔を会わせてはいないが、自らの秘密を知られたからには、私を抹殺しようと動くはずであろうと思っていたのだが。



「各隊隊長に通達します。隊首会を執り行いますので、至急、一番隊にお越しください。繰り返します…」



ひらひらと地獄蝶がやってきて、隊首会を知らせた。
また何かあったのだろうか。
私は急いで一番隊へと向かった。

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