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その日の夜、新人の歓迎の宴を催した。
どうしたことか、今年は五番隊と合同。
突然平子に言われて驚いたが、話を聞けばギンがどうしてもと言って聞かなかったそうだ。



「優奈もえらい市丸に好かれとんなァ〜、ウチの隊士が優奈んことアイツの母親やと思うとったで?」

『失礼だな。せめて姉にしておいてくれれば良いものを…』



苦笑しながら杯を手に取る。
思えば、こうして平子と酒を飲むのも久しぶりだ。
これもギンのおかげというべきなのだろうか。



「せや、ひよ里が寂しがっとったで?アイツ喜助の手伝いで技局に籠りっぱなしやからな」

『そうか、ひよ里も漸く喜助に慣れてきたみたいだな』



そういや喜助と昔から知り合いやったんやなという平子に、私は頷く。
その時、急に強い風が吹いて、傍にあった桜の木から花弁が待った。



「桜吹雪か。綺麗なもんやなァ〜」

『そうだな』



薄紅色の花弁が舞う景色に思わず見とれていると、後ろから衝撃を感じた。



「隊長ばっかり優奈サンと話してずるいで!優奈サンはボクんもんや!」

「何言うてんねん…」



呆れる平子を他所に、ギンは私にしがみついている。
本当に弟というよりは息子のようだと笑みが零れる。



「でもまァ優奈がまた笑うようになったんならそれでええんかもしれんな」



苦笑する平子を慰めるように、惣右介が酒を注いでいた。
こんな和やかな日々がいつまでも続けばいい、そう思ったのは私だけではなかっただろう。



『山じい…お久しぶりです』



久しぶりに屋敷に戻ってきた。
今日は鈴の命日だ。



「早いものじゃな」

『そうですね。今でも昨日の事のように思い出されます』



鈴が死んで十年以上が経った。
最近は少しずつではあるが以前と同じように周りに接することができていると思う。
それもこれも、ギンのおかげだ。



「どうじゃ、市丸は」

『はい、やはりまだ若いだけあって飲み込みが早いです。これからが楽しみですね』



そうか、と山じいが嬉しそうな顔をした。
鈴が居なくなった今、山じいにとって孫と呼べるのは私一人なのだと思うと、もっとこの屋敷に戻ってこようかと考える。
その時、玄関から音がした。



「山じい〜入るよ〜」



声の主は京楽さんだった。
後ろから浮竹さんもついて来ている。



「あ、やっぱり優奈ちゃんもいたんだね。お邪魔させてもらうよ」



二人は私たちの傍に座り、持ってきた酒を飲みだす。
他愛もない話をしながら、その夜は更けていった。

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