>> 4 季節は巡って春。 私がギンの稽古をするようになって一年がすぎようとしていた。 「優奈サーン!!!!!」 騒がしい音がしたと思ったら、ギンが息を切らしながら隊首室へと入ってきた。 『そんなに慌ててどうした』 「ボク、死神になれるんやて!」 一体何を言い出すのかと思えば… 学院を卒業すれば、ギンほどの力があれば死神にはなれるだろう。 それを今更報告されても困る。 『そうだな、あと五年経てば死神になれる』 「そうやない!この春から死神になれるんや!」 ということは、一年で学院を卒業するということだろうか。 しかし、隊長である私がその話を聞いていないはずはない。 どういうことだと首を傾げていると、平子が部屋に入ってきた。 「よお優奈、お前この間の隊首会来てへんやったやろ?」 平子に言われて記憶を辿る。 先日行われた隊首会…確かに私は出席しなかった。 どうせたいしたものでもないだろうと思って行かなかったのだ。 『そういえば、行かなかったな…』 「お前アホやろ、そんときにこん餓鬼が一年で学院卒業するっちゅう話になって、ウチで引き取ることになったんや」 五番隊ということは惣右介が居る隊か。 できれば十番隊で育てたかったが、決まってしまったものは仕方がない。 『そうか、ギンのこと頼んだぞ』 「なんや、惣右介とも知り合いらしゅうてな、アイツに任せることにしてん」 「ボク優奈サンの隊やないん!?そんなの嫌や!」 駄々をこねるギンの頭を平子が殴る。 頭を押さえて蹲るギンを見て思わず笑ってしまった。 「文句があるなら優奈に言いや。隊首会サボったコイツが悪いねんで」 『すまぬな、ギン。稽古は今までどおりにやってやるから、執務が終わったら来るといい』 まだ何か言いたそうな様子のギンを引きずり、平子はドアのほうへと向かう。 ノブに手をかけたところでこちらを振り返った。 「そや、優奈、仕事のことはこっちで教えるさかい、他のことは優奈に頼んだで。総隊長さんもそう言っとったしなァ」 いつものようにニッと笑うと、平子はギンを連れて出て行った。 『他のこと…』 言われた意味がわからず、私は首を傾げていた。 prev//next back |