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季節は巡って春。
私がギンの稽古をするようになって一年がすぎようとしていた。



「優奈サーン!!!!!」



騒がしい音がしたと思ったら、ギンが息を切らしながら隊首室へと入ってきた。



『そんなに慌ててどうした』

「ボク、死神になれるんやて!」



一体何を言い出すのかと思えば…
学院を卒業すれば、ギンほどの力があれば死神にはなれるだろう。
それを今更報告されても困る。



『そうだな、あと五年経てば死神になれる』

「そうやない!この春から死神になれるんや!」



ということは、一年で学院を卒業するということだろうか。
しかし、隊長である私がその話を聞いていないはずはない。
どういうことだと首を傾げていると、平子が部屋に入ってきた。



「よお優奈、お前この間の隊首会来てへんやったやろ?」



平子に言われて記憶を辿る。
先日行われた隊首会…確かに私は出席しなかった。
どうせたいしたものでもないだろうと思って行かなかったのだ。



『そういえば、行かなかったな…』

「お前アホやろ、そんときにこん餓鬼が一年で学院卒業するっちゅう話になって、ウチで引き取ることになったんや」



五番隊ということは惣右介が居る隊か。
できれば十番隊で育てたかったが、決まってしまったものは仕方がない。



『そうか、ギンのこと頼んだぞ』

「なんや、惣右介とも知り合いらしゅうてな、アイツに任せることにしてん」

「ボク優奈サンの隊やないん!?そんなの嫌や!」



駄々をこねるギンの頭を平子が殴る。
頭を押さえて蹲るギンを見て思わず笑ってしまった。



「文句があるなら優奈に言いや。隊首会サボったコイツが悪いねんで」

『すまぬな、ギン。稽古は今までどおりにやってやるから、執務が終わったら来るといい』



まだ何か言いたそうな様子のギンを引きずり、平子はドアのほうへと向かう。
ノブに手をかけたところでこちらを振り返った。



「そや、優奈、仕事のことはこっちで教えるさかい、他のことは優奈に頼んだで。総隊長さんもそう言っとったしなァ」



いつものようにニッと笑うと、平子はギンを連れて出て行った。



『他のこと…』



言われた意味がわからず、私は首を傾げていた。

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