入学式の翌日、早速授業があるということでちゃんと学校に来てみれば教室内が騒がしかった。
煩いなと思いつつも席に付けば、青空がそっと耳打ちしてきた。



「何でも、もう一人の女子生徒が可愛いとかで皆さん盛り上がってるんですよ」
「は?馬鹿らしい」



琥太郎と直獅くんから話は聞いていた。
確か直獅くんのクラスだっけ。
こんなに騒ぎ立てるくらいならよっぽど可愛いんだろうな。
どこに行っても男は馬鹿ばかりだ、と溜息を吐いた。



「そういえば僕、生徒会に入ることになったんです」
「は?」
「昨日会長に呼ばれまして。そして、皆さんが噂している夜久さんも」
「急だねえ」



話を聞けば、やはり会長はあの通りの俺様らしい。
突然生徒会室に呼び出されて、拒否権はなしだと。

やがて入ってきた教師に教室は静まり返り、授業が始まった。
正直に言えば、私は別に星に興味があるわけではない。
日本に帰るならこの学校に入ることが条件だと言われて渋々此処に居る。
教師の話を聞き流しながらぼんやりしていると、いつの間にか午前の授業は終わっていた。



「おい、月城リカは居るか?」



チャイムが鳴ると同時に教室のドアを乱暴に開けたその人。
間違いなくあの俺様生徒会長だ。
居ないふりをしようと思って無視していると、その人は私に向かって歩いて来た。



「お前が月城リカか。ちょっと来い」
「違いますよ、私はそんな人知りません」
「何言ってんだ。この学校に女は二人しか居ないんだ」



小さく舌打ちをすると、会長は不機嫌そうな顔を露わにした。
そして連れて来られたのはなぜか食堂。
待ってろと言われて座って待っていると、会長が二人分の食事を持って戻ってきた。



「何のつもりですか」
「いいから食え。今日は俺の奢りだ」
「よくわかりませんけど、いただきます」



会長の視線が気になったけど、お腹も空いていたので食事を御馳走になることにした。
無言で食べていると、ふいに会長が口を開いた。



「なあリカ、お前生徒会に入らないか?」
「は?いきなり名前呼びでしかも生徒会に入れってわけわかりませんよ」
「生徒会長命令だ」
「職権濫用です」
「問答無用!」
「嫌だって言ったら嫌です」



そんな言い争いをしていると、パシャと音がして一瞬明るくなった。
音のした方を見ると、意外な人物が。



「桜士郎!?」
「おや、リカじゃないか。もう一人の女子生徒って君だったんだね」
「アンタここの生徒だったんだねー」
「リカこそ一年生だなんて年齢詐称もいいところだよ」



桜士郎と二人で話をしていると、それまで黙っていた会長が突然立ち上がった。
会長を見れば、少し怒っている……かも。



「お前ら、俺のことを無視すんじゃねえ!」
「あ、すみません」
「そんなに怒るなって、一樹」
「大体お前ら知り合いなのか?つーか年齢詐称ってどういうことだよ!?」



凄い剣幕で捲し立てる会長に、桜士郎は肩をすくめる。
私はまだ残っていた食事に手を付けながら会長に説明した。


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