純情ときどき、腹黒

くノ一&ボニータ夢。
とても短いお話&くノ一ちゃんの性格が捏造気味です。


「そいつの何がそんなに良いのさ?」
「……愚問」
「いや…だからさ、お前から見たリンネの魅力を解りやすく説明しろって」
「……」


 すやすやと昼寝をしているリンネの頭を膝に乗せていたくノ一が、面倒臭そうな顔をしてこちらを見遣る。二人だけの時間を邪魔するなと言わんばかりの目だ。

 リンネは良い奴ではあるが、それは友人として見た場合の評価だ。絶世の美人という訳でもなし、特別プロポーションが良いという訳でもない。要するに取り立てて目立った容姿を持ってるわけではない、至って普通の女の子なのだ。
 なのにこの女は、リンネに執着している。

「天下の悪魔六騎士のあんたがそんな風になるんだから、よほどの理由があるんだろ」
「……話す義理は無い」
「まあそう言わないでさー、教えなよ。……あ、もしかして体の相性が良いとか――おっと」

 言い終わる前にクナイが飛んでくる。掃い落としたために惨事には至らなかったが、数秒遅れていたらなら顔面に穴を拵えているところだ。

「あっぶねーなぁ。顔に傷つける気か」
「雌牛が。リンネを卑猥な目で見るのは許さない」
「許さないったって、あんただって多かれ少なかれそういう目で見る時はあるだろ」
「……否定はしないけど」
「おいおい」
「でも私達、まだ"そこまで"行ってないから」
「え?そーなの?とっくに喰ってると思ったのに」
「目先の快楽を優先するお前と一緒にするな」

 きつい言葉とは裏腹に、リンネの髪を撫でる手つきの何と優しい事か。

「私がその気になれば、いつだって出来るけど」
「……けど?」
「まだその時期じゃないから」
「………」
「時間をかけて、身も心も私の虜にしてからじっくり味わうつもり」
「……さいですか」

 こりゃ相当重症だぞ、と思いながら、何も知らずにすうすう寝息を立てている幸せそうなリンネの顔を見る。
 早く逃げないと、お前いつかこいつに食べられちまうぞ。そう呟くと、起きるから止めろという非難の声と、二本目のクナイが飛んできた。


(初出:2012.06.20、改訂:2019.05.06)

レディーがまだ連載中だった折、プチ王位争奪戦を読んで興奮のあまり書いた話です。「ザ・くノ一」という呼び名が出る前に書いたので相当テンションが高かったのだと見えます。ザ・ニンジャの女体化なのだから「ザ・クノイチ」とかだろうと予想したら、間違ってはいなかった(正しくは「ザ・くノ一」でしたが)。
終始ホラーなフォントで喋っていたので、ねっとりした恋愛観の子だと良いなと思ってます。
×
第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -