05

小池と日野と黒田


「なぁ……小池」
「……どうしたんだよ日野、珍しく神妙な顔して…。も、もしかして、ついに男に手を出したとかか!?」
「違ぇ、そんなことしねぇよ。俺は久美子を愛してるから。」
「……これはまた大きく嘘を吐いたな、日野。久美子って、2組の担任の平岡先生でしょ、お前年上すきだったの?」
「うそじゃねぇし、年上も年下もすきだぜ黒田。俺は平岡先生の大人の色気にやられました、ぱねぇよ色気ぇ!」
「…その話、平岡先生に聞かれてしまえ」
「ちょ、小池、黒田、絶対言うなよ、伝えるなよ!? 嫌われちゃうじゃねぇか!」

「……馬鹿、言うわけないでしょ…」
「そんなこと言ったおれらが嫌われるだろ普通。…それで、話戻せよ」
「お、おう。………あのさ、ずっと気になってたんだけど…小池と黒田って、好きな人とか居んの?」


「なにを言いだすかと思ったら……、」
「つかなんでまた、そんなことを?」
「普通気になるだろ。お前らさぁ、放課後は女子と遊びもせずに俺らとしゃべってるだけじゃん。普通このお年頃の男子は女子と遊びたいでしょうが! 女子と!」
「なんでそんなに上から目線なんだよ」
「まだまだ16歳の君たちを心配してんだよ俺は」
「日野も16でしょ、」
「俺は19歳ですけど!!」


「ああもうわかったよ、自称19歳」
「な、小池てめぇ!」
「…いっつも思うけどさ、日野ってちょっとナルシストな上に馬鹿だよね。なんで自分のことを19歳って言うのかも謎だし。日野に好かれた人は、可哀相だよ」
「ちょ、ちょ! 黒田まで、それはさすがに聞き捨てなんねぇ!」
「まあ、それはいいとしてだな」
「てめ小池、よくねぇよ!!」
「おれと黒田に好きな人居るのか聞く前に、お前はどうなんだよ」
「……………俺ぇ?」
「あ、確かにそうだね。人に聞くなら自分から先に言ってよ」


「居ねぇけど」


「……うそ、日野が?!」
「あんなに直接的な下ネタを口にしているお前が? 派手な女子にホストまがいなことしてるお前が? 授業サボって先輩口説くお前が? ないないないない」
「いやいやいやいやひでぇよそれはさすがに。つか下ネタ関係ねぇし。………なんか俺ってさぁ、好きになるのが怖ぇんだよな」
「……結構シリアスな話なのか?」
「割とな。……好きになっても叶わない時ってあるじゃん、それが怖かったりする…。だから無意識のうちに、好きにならないようにしてるのかも。」


「……そうは言うくせに、女は抱くよね、日野は」
「…別に、好きで抱いてるわけじゃねぇし」
「…」
「それに、最近はサッパリだしな。…おまえらとつるむ方が楽しいから」


「「………」」
「……急に恥ずかしいこと言わせんなよ、照れるだろ」
「いや、お前、自分から言ったじゃん、自ら言ったよな」
「ああもう恥ずかしいだろ、あー!」

「普段の下ネタの方が恥じらうべきだと思うよ、おれは」
「黒田の意見にさんせーい」
「な、それは無理!」
「無理の意味がわからねぇよ」
「だってよー、俺がお前らに言う下ネタってわりと本気だったりするし。ほら、小池はオネエ系には好かれなさそうとか、のっさんはアレで実は女しか無理だとか……」
「…」
「本気なら尚更恥じらえよ。つか野々村のことをさりげなく言うなよ、ちょっと意外だなって思っちゃったじゃねえか」
「自分に嘘はつけねぇよ!」
「意味わからないし支離滅裂な上に面倒臭いなお前」
「だってほんとのことだし! ついでに今だから言っちゃうけど、小池は抱けって言われても断固拒否!」
「おれだって日野に抱かれたくないわ!」
「黒田ならイけるけどなー」


「……え。」

「黒田細ぇし、女顔だし、声とかそんなに低くないし、世話焼きだし、案外優しいし。……うん、性格含めてイけるわ、よゆー。」
「…、」


「おま……、今だからって言っていいことと悪いことがあるだろ。黒田すっごい引いてるじゃん」
「引いてねぇよな、黒田! 物は試しっていうし、1回シてみる?」



「…………死ねば、」


「……そんなあからさまに、顔背けなくてもいいじゃん…」
「うるさい死ね」
 
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