04

 なんとなく居心地の良くない空気に、どうすればいいのか考えた。なにか言えばいいのか、のっさんに愚痴ろうとしたって、いやでもそれは違う気がする。目が回るほど頭を働かせていたちょうどその時、おれの携帯が鳴った。
少しだけほっとしながら携帯を開くと、新着メールの文字。のっさんからのメールだ。



date:20XX/04/XX 12:35
from:のっさん
to:日野
subject:Re2:

ごめー。
今日いっしょに帰れない(;_;)
だからあんこといっしょに帰ったげてちょー。あんこ最近元気ないみたいで(・ω・)
んじゃあよろしくちゃーんd(ゝω・●)

  ----END----




「あー……それじゃあ、おれ、のっさんから呼び出しあったし、行ってくる」
「うん」

 おれはそう言って、黒田から離れた。そして教室を出た。
のっさんから呼び出しがあったのはうそ。おれはとにかくこの場から早く逃げたくて、そう言ってしまった。黒田は最終的に、今の数分間ずっとおれの方を見なかった気がする。普段からそうだったかもしれない。けれどさっきまで色んなやつに囲まれてたから、黒田がこっちを見ないことが妙に引っ掛かった。1年前は視線が怖いとか言ってたくせに、自分でも現金だと思う。
 思えばおれは、こうやって2人だけで黒田と喋ったことはなかった。
1年の時、同じクラスだった小池伝いで黒田、のっさん、望月と知り合った。クラスが違ってたけどすごく気が合うのっさんとは休み時間ごとに廊下で会ってたけど、黒田とはたまに廊下で話す程度だった。1対1じゃなくて、のっさんか望月か小池を交えて、だ。

 ああ、そうか。普段の様子がわからないから困ってるんだ、おれは。黒田が2人になった時にするであろう不機嫌な表情も疲れている顔も知らないから、戸惑ったんだ。気まずく感じたんだ。そうに違いない、きっとそうだ。
最近元気がないのも知らない。春休み中はそんなに会ってなかったし、今朝見ただけでいつも通りだと思ったから。でもそれは、おれが黒田についてなにも知ろうとしなかったからなのかもしれない。よくつるんでるのに、なにも知らないのか、おれは。

(…帰る時、なにかあったのか聞いてみよう)

 おれは黒田に比べたら頭悪いけど、少しでも力になれればいい。友達だし、なれるはず……。
 そう決心したおれは、先程よりさらに機嫌が良くなった…というよりもすっきりした気分で、教室に戻った。









date:20XX/04/XX 12:42
from:日野 赤弥
subject:無題

わかった!黒田の様子とか見てみる!

  ----END----




「………、」
「およ、もっちーどったの? チェーンメールでもきたのー?」
「違う、それよりタチ悪い」
「どーれー?」
「ん。」



「………これって、僕のメールへの返事かも。ひのっちてばドジー」
「…」









date:20XX/04/XX 12:44
from:望月
to:日野
subject:Re:

あほ

  ----END----

 
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