10-01

日野と野々村と別所


 高2になってから1ヶ月、やっと今のクラスの避けられ方にも慣れてきた。
避けられる、というか腫物扱い? 扱いに困られる? のは1年の時からだから、もう慣れっこだったりする。
 1年の時はのっさんと黒田と俺の3人でつるんでいたんだけど、その時は、黒田が大人しい感じの男子と仲良かったから、俺も一緒になって喋ったりしたし、のっさんの先輩達とかも近くに居たから、そんなにひどくはなかった。
だけど2年になってからは。俺よりちょーっと美形で吊り目な望月と小池と同じクラスになってからは本当に誰も近寄らなくなった。
……いや、そりゃあね、一部の派手系の女とか男とか小池とか体育会系の奴とかは話しかけてくるよ? 類は友を呼ぶっていうしな、派手っつーか目ぇパンダな女とか腰パン短足野郎とか。俺の運動神経の良さに惚れ込んだ熱血野郎とか。…でも、それでもどことなく、接し方がぎこちない奴らばかりだ。

要するに、地毛が灰色で目が赤い奴っつーのは、ゲテモノ扱いされるということだ。それに加えて望月いわく、俺の下ネタが原因だとか。…近寄りたくないくらいに下ネタ言ってるわけじゃねぇのにな。……ちょっと拗ねてみるけど、言うのはやめない。健全な男の子だし。

 自分でも妙に思いながら自己分析をしていたら、俺の足元にころころと黒いボールペンが転がってきた。誰かが落としたのかと思い、とりあえず拾ってから辺りを見渡す。今は放課後で、俺は廊下でのっさんのクラスを待っているところだから、俺と同じように2組を待っている奴だろうと思いながら落としたっぽい奴の目星をつけていると、ペンケースをぶちまけた奴を発見した。……たぶんあいつだ、つか、あいつ以外居ねぇだろ。

 話しかけたら、また遠慮しながら受け答えして、すぐに逃げるんだろなぁと憂鬱に思いながら近づく。しゃがむそいつを上から見下ろしながら、声をかけた。

「これ、違う?」

不意にかけられた声に驚いたらしいそいつは俺を見上げて僅かに目を見開いた。俺は、ああ、これは遠慮される感じだと思いながらも視線はそいつから離さなかった。

「すみません、ありがとうございます。一本足りないと思ってたんですよ」

そいつは謝罪と礼を一気に口にすると俺の手からボールペンを受け取った。
この時俺は、呆気にとられていた。こいつも遠慮がちに去っていく奴だと思っていたから。偏見のない奴なのか、または俺のことを知らないのか。どんな理由にしろ、遠慮されないことに少し安堵した。
 
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