09
望月と黒田
「……望月」
「どうした？」
「おれ、どうしよう…」
「…いや、だからどうしたんですか黒田君」
「おれ、どうする、いい、わかんない、なぞ、」
「お前の話し方のほうが謎だしなんで片言」
「だだだってどうすればいいのかわからないんだよ！」
「俺もお前の言葉にどう返したらいいのかわかんねぇよ」
「…んで、どうしたんだよ」
「…望月、おれがさ、もし、」
「うん」
「男……なんだ、けどね。…身内っていうか、……いっつもつるんでる奴っていうか…すきになったらどうする？」
「……なったのか？」
「っ、ち、違う、もしだ、もし、すきになったらどうするかどうかの話だよ！」
「もし、なぁ…(すきになったのか)」
「うん……。望月は、おれを見る目とか…変えたりするかなぁって……」
「……相手による」
「…え。」
「そりゃそうだろ、もしその相手が俺だったら断るから多少は気まずくなるだろ。」
「………もしお前だったら、断ること前提なの？」
「俺、黒田のこと、そういう目で見れねぇので」
「まあ、お前じゃないし……」
「…(ついにifじゃなくなったな。絶対気付いてないだろこいつ)」
「望月じゃない他の相手だったらどうする？」
「……それも相手によるかな。小池だったらそれなりに応援するし。日野だったら趣味悪いと思う」
「そ、そう……、やっぱり趣味悪いんだ……」
「…」
「え、あ、じゃあ……の、野々村とかは？」
「………ののだったら反対するかな。あいつ、女子からの告白にも適当だから、すきになんない方がいいと思う」
「えええ！ あの、野々村が……適当に？！」
「あいつ、あのゆるさでそういうことに関してはシビアだからな」
「そっか、すっごく意外だね……。そ、それで、あ、えっと偏見とか、ないの？ ど、同性愛なわけだし…」
「…ないけど」
「そ、そっか！」
「……、」
「…え、なに望月。これ見よがしに溜め息ついて……、」
「黒田って俺らの中だと１番頭良いと思ってたのに、案外そうでもないな」
「望月よりは良いよ！ あと、日野とか野々村とか小池なんかよりは確実に！」
「いやいやいやいや。お前さ、自分から誰がすきなのか言っちゃってることに気付いてんの？」
「え」
「やっぱ気付いてなかった。……お前、趣味悪いな」
「えええ、ちょっと待って！ なんでばれた？！」
「黒田君が趣味悪いのかと嘆いていたからですよ」
「っ！ うわ、無意識のうちに、そんな……！」
「ま、俺は偏見とかねぇし、日野と黒田がどうにかなろうが正直どうでもいい」
「それ、ひどくない？！」
「とりあえず頑張れよ」
「な、投げ遣り過ぎ！」
「一応は応援してるんでまあまあ頑張って下さい」
「誠意が感じられないんだけど！」
「あーもうめんどくせぇな、社交辞令だっつの。言ったろ、どうでもいいし興味ねぇし、さっさとケツ借りてこいよ馬鹿」
「っ、お前やっぱり性格悪い！ 中学から性格悪いと思ってたけど、中学の時より悪くなってる！」
「気のせいですよ黒田君」
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