鉢屋くんへ



なんとなく予想はしていましたが、結局好きって言ってくれませんでしたね。
なので、鉢屋くんの代わりに私が今書いてみます。鉢屋くんは私が好き!!…多分!

調子に乗りました。ごめんなさい。手紙だと普段は言えないようなことが書けるみたいです。
ところで、急な事で驚かせてしまいましたよね。もしかして私がひとりで舞い上がってるだけなんじゃないかと思ったら不安になったのと、あとちょっとだけ、意地悪したくって黙ってました。
鉢屋くんがこの手紙を読んでくれている頃、私はアメリカにいることでしょう。そう。アメリカの………ハワイにね!!アローハーだよ鉢屋くん!アロハオエー!
私が近頃あまりにも鯨に興味しんしんなので、そんなに言うんだったら実際見てくればいいじゃん!と、父がハワイでホエールウォッチング一週間の旅を予約してくれたのです。
旅行にかかったお金は出世払いでいいそうです。ちゃっかりした父だよね。
ともあれ私は母と二人でハワイへ来ています。一週間後には帰るからお土産楽しみにしててね。
クラスのみんなと木下先生にはあくまでもハワイじゃなくてアメリカだということを強調するように頼んでおいたのですがうまくやってくれたでしょうか。

そうだ、この間言い忘れたんですけどもしよかったら、今度一緒に海に行きませんか?電車に乗って、お天気のいい日に行きたいです。そしてまた、夢の鯨の話をしたいです。鉢屋くんの見る夢の話も聞いてみたいです。いつも私が一方的に話してばかりなので鉢屋くんの話を聞いてみたいのです。こうして手紙を書いている間にもすでに寂しくなってきました。早く鉢屋くんに会いたいです。

それではまた、一週間後に。







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