鉢屋「なあなあ」
久々知「なんだよ」
鉢屋「何でお前若干けんか腰なの?まあいいや…サンタっていつまで信じてた?」
久々知「は?どういう意味だ?」
鉢屋「だーかーらサンタはいつまで本当に存在するって信じてたかって聞いてんだよ!サンタさんだよサンタさん!」
久々知「何言ってるんだ三郎、サンタクロースは存在するぞ?」
鉢屋「ちょっと長くなりそうだからとりあえず一回黙ってもらっていいか」
久々知「釈然としないがまあいいだろう」
鉢屋「で、サンタはいつまで信じてましたか!はい雷蔵!」
不破「えーっと…ちょっとはずかしいんだけど中三の時まで…」
鉢屋「信じなくなったきっかけは?」
不破「いや、親にさ、来年から高校生だしそろそろサンタも来なくなるかもねって」
鉢屋「なるほど、大人の事情というわけだな」
不破「それで何となくわかっちゃったって言うか…」
鉢屋「だますなら最後までだましきってほしいよな!そういう子供の時に受けた傷ってさ、こうして大人になっても、心のやわらかいところを今でもまだしめつけるんだよ…」
竹谷「それ何かの歌詞じゃね?」
鉢屋「気のせいじゃないか?で、八左ヱ門は?」
竹谷「俺?いや、中一ん時にトイレ行きたくて夜中起きちゃってさ、親と鉢合わせ」
鉢屋「あるあるだな…親も気まずかったことだろう」
竹谷「いや、何かテンパったらしくて逆切れされた」
鉢屋「お前んちの家族パニックになるとみんな若干逆切れするもんな」
竹谷「まああとでお互い謝ったけど正直なんで俺が謝るのかはわからなかった」
鉢屋「社会の理不尽さ…。ある意味それがサンタからの最後のプレゼントというわけだな。で勘右衛門は?」
尾浜「小五の時にさー、サンタ捕獲しようと思って仕掛けた罠に父親がかかって」
鉢屋「うわ…」
尾浜「すげー怒られてその次の年からサンタさん来なくなったわ」
鉢屋「どんな罠だったんだ?」
尾浜「詳しくは言えないけどぎりぎり血は出なかった」
鉢屋「ひくわ…サンタの首とる気満々じゃねえか」
尾浜「俺の中ではサンタはUMA的な存在だったからね」
鉢屋「何でドヤ顔?……………で、兵助。ここまでの意見を聞いてどう思う」
久々知「みんな知らないのか?親はサンタクロースに頼まれて子供の枕元にプレゼントを置いてるんだぞ?」
尾浜「兵助…それ、誰に言われたんだ?」
久々知「親だよ。子供の頃トイレに起きたらクリスマスツリーの下にプレゼントを置いてる親と鉢合わせしたんだ」
竹谷「俺と同じ体験なのにその後の展開が違う」
不破「それで…今もまだプレゼントを…?」
久々知「いや、高校生になってからもらってない。サンタがプレゼントをくれるのは中三までだって」
不破「すごい純粋なのかすごいアレなのか判断がつかないよ」
久々知「どうしてそんなにサンタをいない者にしたいのかわからないが、見た事がないからといってそれが即サンタが存在しないという理由になるか?サンタはいる。俺はそう信じてる。みんなはサンタがいないと信じてる。俺はいると信じてる。それだけの話だ。そもそも何かがいないということを証明するのは不可能に近い」
尾浜「何がそこまで兵助を駆り立てるんだ」
竹谷「いや、でも兵助の話聞いてたらサンタっているのかもしんねえって思えてきた」
不破「そういえば三郎はいつまでサンタを信じてたんだい?」
鉢屋「………………グス…」
久々知「三郎…泣いてるのか…」
鉢屋「昨日……庄左ヱ門と彦四郎が…サンタなんていないって話してて…始めは嘘だって思った…でもあの二人が言うならそうなのかって……………他の学年にも聞いてまわったけどみんなサンタはいないって…ずっと強がってたけど…サンタはいるって、誰かに言ってほしかっただけなんだ…ごめん…」
久々知「誰にだって間違いはある。三郎。サンタはいるよ。何度でも言う。サンタはいる。庄左ヱ門と彦四郎はそういうことが言いたい年頃なんだろう。あとで俺が話をつけに行くから安心するといい」
尾浜「それだけはやめて」