授業が終わった放課後、今日は何をするかと考えながら一人で中庭を歩いていた時のことだ。

「あのっ、鉢屋くん!」
「ん?」

突然名前を呼ばれて振り向けば、そこにはくのたまの名字がいた。
名字は私と同じ学年で、互いに顔と名前は知っているが、話したことはない。
そんな名字が私に何の用だ?

「あ、あの…実は鉢屋くんにお話があって……」
「いいけど、何?」
「ここでは言いにくいので、人がいないところに来てもらっていいかな?お願い…」

そこで私はピンと来た。
私に話があるという名字の顔は真っ赤で、声をかけられた時には、まさかそういうことになるとは思ってはいなかったのだが。
だけど名前も知らないくのたまに呼び出されるなんてことは私にとってそう珍しいものではなく、むしろ顔を知っているだけ、名字はましか。

「別にいいけど……話があるっていうのは、私でいいのか?」
「はい…これは鉢屋くんにしか頼めないことで…」
「わかった。ならいい」

一応雷蔵と間違えていないか確認を取った上で、私は蘇を連れて人気のない場所に移動した。
名字は会った時から真っ赤な顔をして、ずっと地面ばかりを見ていた。

「さて、ここらへんでいいか」

私は名字に振り向くと、名字はびくりと肩を揺らし…ゆっくりと私の顔を見上げた。

「あ、あのね…言い忘れてたけど、私名字名前っていうの。同じ五年だよ」
「ああ、それなら知ってる」
「……、実は鉢屋くんにお願いしたいって言うのは他でもない…………のことで、」
「え?ごめん、何て言ったのか聞こえなかったんだけど」

名字は肝心なところで声を落としたせいで、何と言ったのかわからなかった。
それで聞き返したら、

「っ、鉢屋くんに、色の手ほどきを頼みたいと言ったの!」
「は、……あぁぁぁぁ!?」

色の手ほどき!?
驚いた私は、思わず大声を上げてしまった。

「お、お前それ本気で言ってるのか…!?」
「冗談でこんなこと言わないよ!私だって、頼むの凄く恥ずかしいんだから…」
「そ、そうだな…顔真っ赤だし…」
「やだっそんなこと言わないでよ!」

名字はこれでもか!という程顔を赤くし、顔を覆ってしゃがみ込んでしまった。
ま、まさかこの告白自体が名字の罠ってことはないよな…
ちらりと周囲を見渡し、怪しい気配がないことを確認すると俺はホッと胸を撫で下ろした。
しかし、罠じゃないとすれば……

「名字…一体どんな経緯で、私にそんなお願いをしてきたんだ?」

とりあえずは事情を知りたいんだけど…
そう伝えれば、名字はゆっくりと口を開いた。

「あ、あのね……私、行儀見習いで入学したんだけど、まだお嫁に行く予定もなくて…それで、四年からみんなと同じ実技の授業とかも多く取り始めたんだけど…」
「あぁ…」
「四年から、みんな…色の実習が始まってるでしょ…?私はその前の座学を取ってなかったから、去年は実習はなかったんだけど…」
「今年になったら、それがあると…」
「そうなの…でも私、全然そういうことの経験がなくて…」

経験がなくても、知識はあるだろう。
その為の座学なんだから。

「座学の方も、全然ダメで…ぎりぎりのところで通ったの。だからホントにちゃんと実習ができるか自信がなくて…」
「俺に教わりに来たと?」
「うん……だって鉢屋くん、色の実習じゃぁ凄く上手だって、くのたまの中でも有名なんだもん…」
「私は色の実習だけでなく、全ての教科で成績がいいんだよ!」
「ひぇっ!ご、ごめ…!」

誰だよそんな噂流した奴…!
正直思い当たる節がありすぎるけど。
私が怒鳴ると名字は小さな体を益々小さく丸めた。
一応、無茶苦茶なことを頼んでいるという自覚はあるらしい。
だけどなぁ…

「名字、お前今は他のくのたまと同じ授業を取ってるって言ったって、元は行儀見習いだろう?実習なんて受けてもいいのか?」
「そこは問題ないの…両親も、くのいちになりたければなっていいって言ってるし…」
「そうなのか?」
「うん…私、兄弟多い末っ子だから、割と放任で…」

だからって、こんなくのいちに向いてなさそうな名字が、くのいちを目指すってなぁ…
正直不安でならない。
いや、普通に無理としか思えないんだけど。

「そ、それで鉢屋くん…」
「ん?」
「私のお願い、聞いてくれる…?」
「………」
「私、鉢屋くんに断られたら…誰に頼んでいいかわからなくて…」

諦めるという選択肢はないのか。

「ダメ…かな?」
「…はぁ、わかったよ。引き受けてやる」
「ほ、本当に!?」

名字はぱっと顔を上げて喜んだ。

「ただし、条件がある。手ほどきと言っても、あくまで慣れさせる練習だからな…最後まではしないぞ」
「う、うん!そっちの方が私も嬉しいかも…」
「…とにかく、それで良ければ私が名字に閨でのいろはを教えこんでやる」

それで怖じけついたら、さっさとくのいちになるのを諦めた方がいい。
私は名字の先を案じて、この無茶苦茶な依頼を引き受けることにした。


名字は自分で言っていた通り、色のいろはは全くなっていなかった。
聞けば昔からこの手の授業は苦手らしい。
ならなんで…はぁ。

「まずは男を誘惑する方法だ。これくらいは授業でやったことあるんだろ?私にしてみろ」
「えっ今ここで…?」
「そうだよ。忍たるもの、臨機応変にだ」

名字は私の言葉に顔を赤くしていたが、やがて体をもじもじさせながら擦り寄ってきた。
一見してここらへんは問題なさそうなんだけどな…俺からするとまだまだ甘い。

「もっと体くっつけろ。で、手を使え」
「う、使えって…どうしたらいいの?」
「適当に私の体を触ってればいい」
「え!」
「…それができないと話にならないが」

まさか男の体に触わることすら躊躇してないよな?

「いいか、体を密着させたら、後は手を動かしながら適当に喋ってればいい。男任せに何もしないのはだめだ」
「う、うん…」
「体が密着していれば、それだけで男の気持ちを煽るからな」
「は、鉢屋くんも今煽られているの?」
「阿呆。変なことを聞くな……ほら、手が止まってるぞ」
「わ、ごごごごめん…!」

名字は私の腹や胸の辺りをさわさわと撫でながら、赤くなった顔を背ける。
これはこれで、初々しい反応だが…
欲を言えば、もう少し顔を見せて欲しいな。
目は合わせずに。

「次は接吻だが…」
「ま、まだ明るいよ!?」
「はぁ?明るいからなん「やだ!恥ずかしい!!」
「………」

ま、まさか接吻程度でそれはないだろう…

「お前、そんなこと言ってたらこの先色の実習なんて全滅だぞ…?」
「で、でも恥ずかしいのは恥ずかしいし…その為に鉢屋くんに頼んだんでしょ、?」
「だが…」
「慣らす為に練習って…言ってたじゃない!わ、私まだこんな明るいところで接吻なんて無理だもん…!」
「じゃぁどこでするんだよ…」
「え?……夜、私の部屋とか?」

それこそ本気で言ってるのか…!
夜に女の部屋で接吻するなんて、無防備もいいとこ…襲ってくれと言ってるようなものじゃないか!
しかし、そんな私の心のツッコミにも気付いた様子もなく、名字は提案してきた。


「そうだよ!何も今急にやらなくったって…ちゃんと時間と場所を決めてやろうよ!その方が心の準備ができるし、ここはもしかしたら、誰かが通るかもしれないし…」
「それはいいが…」
「じゃぁそうしよう、ね?夜、寝る前に鉢屋くんが私の部屋に来てね」

平気で言ってのける。
名字はくのたま長屋に忍び込む難しさを知らないのか…?

「はぁ…わかったよ。で、いつ?」
「え?毎日」

知らない!
こいつは絶対に知らないんだな!?

「どうかした?あ、もちろん用事がある時はいいんだけど…」
「大丈夫だ…引き受けたからにはちゃんと最後まで面倒みてやるから」
「うん…」

名字は恥ずかしそうに再び視線を落とす。

「私のために…ありがとう」

にこっと笑った横顔は、それだけで十分男に通用するものだと思った。



そして夜。
何とか忍び込んだくのたま長屋の名字の部屋で、改めて色の指導をする。
名字は元々行儀見習い組で、部屋割りもそのようになっていた。
そのため、三年の終わりに早々と同室の人間が学園を辞めてからは、一人部屋になったという。
こういう時には便利だ。
しかし…

「全く経験がないと言ってたが…接吻も初めてか」
「うん…」

布団の上に正座する名字は、夜着に身を包み、今にも寝ますといった格好だ。
いくら色の手ほどきとはいえ、私を招き入れるなら少しくらい警戒するべきだろう…

「本当に、私でいいのか?」

問えば、名字は下を向いて静かに頷いた。
その答えを聞いて私は行動を開始する。
緊張している名字の肩に手をかけ、指で顎を持ち上げる。
なるべく怖がらせないように、ゆっくりとその唇に吸い付いた。

「ふ…」

重ねた瞬間、僅かに名字の肩が揺れた。
私は啄むような接吻を繰り返しながら、名字の背中や髪に触れ、緊張を解かせてやる。

「力は入れるなよ…お前はただ私を感じていればそれでいい」
「う、ん…」
「あと、無理に返事をする必要もないからな」

そう言って名字の頬を撫でる。
もう一度唇を重ねようとしたら、自然と目を閉じた。
その唇を味わいながら、私はどこまで事を進めるか考えた。
接吻も初めてだという名字に、最初から多くは教え込めない。
混乱していっぱいいっぱいになるのがオチだろう。
となると少々面倒だが、今日は触れるだけでやめておくべきだ。
接吻しておきながら舌も入れないなんて、私にしては有り得ないことだ。
けれど名字が恐怖心を抱いてしまったらそこまでなので、そこは焦らずじっくり攻めたい…
私は何度も角度を変えて、触れるだけの接吻を顔のあちこちに名字に落とした。
名字がくすぐったそうに体をよじらす。

「鉢屋くん…私、何だか凄いどきどきするよ…」
「そうだろうな」
「みんなが言ってた通り、鉢屋くんはせ、接吻とか…上手なんだね」
「これくらいのことは、私でなくても男はみんなするよ。上手いか下手かわかるのは、まだ先だ」
「え、そうなの?」

名字はきょとんと首を傾げる。

「どうやったらわかるの?」
「…例えば舌を割り込ませてな」
「、うん?」
「あぁいい、意味がわからなければ実際してみればいい……ただしそれはまた今度な」
「何で?」
「私の舌使いを堪能したら、名字の足腰が立たなくなるからさ」

そう言えば、何となくその意味を悟ったみたいで、名字は再び俯いた。
耳まで真っ赤になっているのが見える。
自分から頼みにきたくせに…反応はいちいち面白いな、名字は。

「今日は初めてだから、ただの接吻しかしない。ほら、顔上げて」
「………」

黙って私の指示に従った名字に、もう一度唇を落とす。
名字の唇は柔らかくて、思わず舌を入れたい衝動に駆られるが…今は我慢だ。
腕の中に閉じ込めて、好きなだけ唇を重ねた。
終わった後、名字は真っ赤な顔で私を見上げている。

「鉢屋くんて、思ったより凄く優しいんだね…私、鉢屋くんに頼んで良かった」
「思ったより、は余計だけどな」
「うん…鉢屋くんは優しい。ありがとう」

全くだ。
普段の私なら絶対にこんなことをしないぞ。
だけどこんなくのいちに向いていない名字を放っておくのは何となく気が引けて、結局私は名字の面倒を最後までみるのだろう。
今はまだいいけど…この先生殺しだぞ。
それでいいのか私。

「はぁ…」

溜息を吐いたら、名字が首を傾げた。


あの日から、私は夜に名字の部屋を訪れることが日課となっていた。
指導を始めて以来、名字は段々と私との接触にも慣れてきて、手探りではあるが自分からも行動を起こそうとする。
その動きはまだ拙く、私を満足させるものではないが、接吻の度にいちいち顔を赤らめていた頃と比べると、大きな進歩だ。
今だって私が舌を絡めて深い口付けをしてやれば、僅かながらに応えようとする。
そんな健気なところは、男の気を引くには十分だろう。

「ん…ふ、ぁ…んぅ…」
「ちゅ…はっ、ん…」

互いの舌を擦り合わせて軽く吸う。
唾液はどちらのものかわからない程溢れ、混ざり合う。
それを名字の口の中に押し込み、飲めと伝える。
名字はこくりと喉を鳴らして、私たちのそれを飲み込んだ。

「は…ちや、くん…」

唇を離した名字の目がとろんとして、うっすらと水の膜が張っている。

「名字にはまだ早かったか?」
「う、ううん……大丈夫。だけど体に力が入らなくて…」
「私の言った通りだっただろう」

得意げに笑ってみせれば、名字は泣きそうな顔をして首を縦に振った。
気の抜けた体を布団の上に横たえ、私は名字に覆いかぶさる。

「まずは自分の体を知ることから始めるか」
「…ぇ、?」
「ん?あぁ、怖がらなくていい…今よりももっと気持ちよくしてやるだけだ。痛くはしないし、最後まではしないから安心しろ」

私の言葉に名字は静かに腕の力を抜き、身を預ける。
この状態でお預けって、ホントに私は損だよなー…
でも今は名字を気持ち良くすることに集中しないと。
私は名字の首に顔を埋めながら、胸や腹に手を伸ばす。
名字は小さな声を上げ、はっと手で口を覆った。

「我慢するな、と言いたいところだけど…周りに気付かれると面倒だしな。少しだけ気を付けろよ?」

名字はこくこくと首を振り、なるべく声を出さないよう必死になる。
だが、そんな健気な表情を見ていると、私の方が我慢してられない。
名字の手を外し、自らの唇で塞ぐ。

「んんっ…」
「っは……、やっぱ声我慢しなくていい。私が飲み込んでやるから」
「は、ちやく…っ、んむぅ、ん……ふぁ、んぅ…」

名字が出した声は、全部繋がった私の口に飲み込まれて、部屋には二人の吐息と布擦れの音しかしない。
名字の袂を割り、中に手を侵入させる。
柔らかい乳房をぐるりと円を描くように刺激し、強弱をつけて揉んでいく。
名字の顔はいっぱいいっぱいだった。

「感度は悪くなさそうだが…こっちはどうだ?」

丘の頂きにある実をきゅっと引っ張ってやれば、名字は涙を零して喘いだ。

「はぅ…はちやくん、それ、なんかやだよぅ…」
「これはな、嫌だってことじゃない。気持ちいい反応なんだよ」
「きもちいい…っ?」
「初めての感覚で戸惑うかもしれないが、名字は感じているんだ。胸を触られて、こうして先を弄られて…」
「あっ、だめぇ…!」

名字の体が左右に揺れる。
余程快感が強いらしい。
だが、それを言ったら私だって同じようなものだ。
さっきから名字の体に触れ、声を聞き、表情を見ていれば……自然と反応してしまう。
正直最後までしてしまいたいと思うが、飽くまでこれは手ほどき。
最後まではしないと、自分でも言った。

「名字…少し辛いと思うが、声は何とか抑えてくれよ」

私は夜着からまろび出た名字の乳房に舌を這わせ、触れるか触れない程度の加減で、ゆっくり先端にたどり着く。
すぐには吸い付かず、乳輪のあたりをくるくると舐める。
すると、今まで以上に反応した名字が、私の頭を押さえてきた。

「やぁん……ねぇ…はちやくん…からだがおかしいの…」
「…どんな風に?」
「体がっ熱くて…くすぐったいんじゃないけど、変な感じがして…」
「あぁ」
「それ、されると凄い足の間がむずむずするの…やだ、恥ずかしいよぉ…」

名字はいやいやと首を振るのだが、恥ずかしいのは今更だと思う。
色の手ほどきを頼んできた時点で、こうなることはわかっていたはずなのに…
私は焦らしていた乳首にようやく吸い付き、口の中で思う存分遊んでやる。
隣の乳房は手で揉みながら、先っぽを指で引っ張ったり摘んだりして、同じように可愛がる。
名字は先程からずっとふとももを擦り合わせていた。

「――はぁ、」
「あっ……んん、ねぇ…もうやめて…?これ以上したら、私の体、変になっちゃうよ…」

ようやく乳首から唇を離した時、名字はそう言って懇願した。
だが私はそれを了承しなかった。

「今止めても、体がつらいことには変わらないぞ。一回、達した方がいい」
「た、達し…?で、でも、そんなの、どうやって…」
「心配しなくていい。私の舌使いは十分知っただろう」

不安そうに私を見る名字にもう一度口付けを落とし、下帯に手をかける。
さすがにその時は、名字も精一杯の抵抗をした。

「やだっ、そんなとこ、見せられないよ…!」
「本番では全部脱ぐだろう?その時今と同じ事を言ったら、減点だぞ」
「で、でも…」
「明かりだってほとんどないんだし…いい加減羞恥心を捨てろ。お前はくのいちになるんじゃないのか?」
「っ……」
「大丈夫だ、悪いようにはしない。絶対に」

腕の力を抜いた名字から、下帯の結び目を解いて、中に手を伸ばす。
名字はぎゅっと目をつむった。
そうだ。
割り切れなければ見なければいい。
名字の柔らかいふとももを撫でながら、茂みの奥に指で触れた。
くちゅりといやらしい音が響き、とろとろの液体が尻の方まで垂れていた。

「凄く濡れてる…」
「っ!ゆわないで…っ」
「いいことじゃないか。本番もこの調子なら、失敗することないだろう」
「だ、だって…」

必死に顔を背ける名字の割れ目をなぞり、指に蜜を絡ませる。
入口に第一関節程度までを埋め込ませて、様子を見ながら動かした。
くぷ、ぬぷ、ちゅぷ、ぺちゃ。
様々水音が泉から聞こえてくる。

「はぁ…あ…っ……はち…や…くん……っ」

名字は既に羞恥の限界にきているようで、音が聞こえる度に足を閉じてしまいそうになる。
入口とその上の肉芽を弄りながら、私は名字に話し掛けた。

「名字、知ってるか?女の体はな、入口の近くに性感帯が集中してるんだ」
「な…うぇ、?あっ…あん……」
「慣れた女ならまだしも、名字は初めてで、指を奥まで挿れらるのは怖いだろう。だから、私が弄るのはせいぜいここまでた。だが、それで名字に絶頂を体験させてやるよ」
「ひゃうっ!ふぁ…っ……ん、あ…あん…!」

肉芽をぬるりと撫でてやれば、名字は甲高い声を出して体を跳ねた。
それを押さえ付けるように、私は両腕を名字の足に絡め、蜜の湧き出る泉に顔を近付ける。
味わうようにべろり、とひと舐めしてやれば、名字は「あっ!」と喘ぎながら枕に顔を押し付けた。
指より格段に柔らかく湿った舌は、想像以上の快感だろう。

「ふ…ちゅ……はぁ、ん…」

入口で掬った蜜を塗り付けるように、肉芽の周りをつつく。

「はぁ…くぅ……んっ、あぁぁ……」

ちらり、と視線を上げれば息を乱した名字の顔が目に入って、私自身の気持ちもたかぶった。

「名字…」
「はぁ…はぁん、な…に、?はちやくん…」
「…これから背筋が突っ張るような快感がきても、逃げないで受け入れるんだぞ。そうしたら、それが達するということだから」
「ん…、?わか、った…」

名字は私が言うことをいまいち理解していない様子で、とりあえず返事をしたようだった。
まぁいい。
どういうことか、すぐにわからせてやる。
私は口淫を再開して、名字の肉芽をたっぷりと可愛がった。
溢れんばかりの唾液と蜜で濡らしながら舌を滑らせ、肥大化してきたそれを口に含み、吸ったり甘噛みしたり。
その間指を使って入口をずっと撫でていた。
限界はすぐにやってきた。

「ふぁっ、や……はちやく、だめ…っなんか、だめ…!」

足を揺らす動作が大きくなり、私から逃げようとする。
しかし私はがっちりとその体を捕らえ、逃がさず口淫を続ける。
ついには名字が言葉を忘れて、単語にすらならない声をあげて首を振った。

「や…うん!あっ、ひぁっ、あっ、やぁん!」

肉芽はもう痛いくらいに勃ち上がっている。
男のそれと比べたら、全然可愛いらしいけど。
気持ち良すぎて、苦しいんだろうな。
だから、早く達しろ。

「んっ、や…あっ、う!あっ――」

ビクリと、名字の体が揺れて固まる。
キタか。
私は最後にめい一杯肉芽に吸い付き、指を素早く滑らせた。
途端、名字の背中が浮いてビクビクと激しく痙攣した。
声にならない声が弾け出る。

「あっ…あぁぁ…っあ…ん……!」

そのままぱたりと意識を手放して、力が抜けた。


「最高だっただろ?」


名字が意識を取り戻した時、乱れた夜着を直してやりながら私はにやりと笑った。
名字は上手く体に力が入らないらしい。
だが、頭は正常に働いているので、私の質問にぽっと顔を赤らめた。

「びっくりした…自分の体があんな風になるなんて…」
「女の体は男より達するのが難しいと言われてるが、その分快感は強いらしいからな」
「私、まだ膝が震えてるよ…」
「余韻があるのも、女の特徴だ」

私は説明しながら、名字に全ての女がそう簡単に達せる訳じゃない事を教えた。
ただ、誰しも弱い部分や強く感じる部分はあるので、上手に愛撫してやれば気持ち良くなれるということも、忘れずに伝えておく。

「じゃぁやっぱり、鉢屋くんは凄く上手なんだね…」
「伊達に経験を積んでる訳じゃないさ」
「鉢屋くんは、どこでこういうこと習ったの?」
「それは秘密」

名字が口をアヒルみたいに尖らせて拗ねたので、私は笑いながら口付けた。

「え…?」
「何だ、今更恥ずかしいものでもないだろう」
「そうだけど…」
「今日は名字に自分の体のことを知って貰った訳だが、次からは男の体のことも教えるぞ。これを知らなきゃ、練習の意味がないからな」
「それって、私が鉢屋くんの体に…さっきみたいなことするの?」
「そうだ」

肯定すると、名字はまた顔を赤くしてそっぽを向いた。

「おいおい、恥ずかしいのは私も同じなんだぞ。むしろ私なんか名字の為に自分の体を晒け出さなきゃいけないんだ、どう考えても損だろう」
「で、でも…」
「最初は見るだけでもいい。少しずつ慣れていけばいいから」
「うん…」
「まぁ、最終的には口で達せられる程度には上達して欲しいけどな」
「やっぱり無理だよぅ…!」

耳まで赤くした名字は、ぷるぷると首を振って否定した。
自信のなさが窺える。
だが、最初から上手くできる人間なんていない。
こればっかりは経験が大きくものをいう。

「大丈夫。私がちゃんと、一から教えてやるから。名字はそれを覚えて実行すればいいだけだ。できないことじゃない」

ぽん、と小さな頭に手を乗っけてそう言えば、名字は遠慮がちに頷いた。
そして、小さな声で一言。

「が、頑張るね…」

その調子だ。




夜もふけった頃、私は部屋を抜け出して名字の部屋に忍び込む。

「名字」
「鉢屋くん!」

私が声をかけると、名字はぱっと顔を綻ばせて、招き入れる。
私が来る時名字がしていることはまちまちだが、格好はいつも同じ。
薄い夜着に身を包み、布団を敷いている。
端から見れば、男女の逢瀬のそれ。
しかし私と名字の場合、間にそんな甘いものは存在しない。
私は名字に色の実習のため、その手ほどきをしてやっているのだ。

「ちゃんと予習はしておいたか?」
「えっと…したけど、正直よくわからなくて…」
「あぁ、読んだんならいい。後は私が実際に教えてやるから」

枕元に置いてあった本を一瞥し、名字の体を引き寄せる。
私が予習の為に読んでおけといったのは、さる筋から手に入れた閨での作法の指南書だ。
名字にもわかるよう、なるべく易しいのを選んだつもりだったが…
羞恥心が邪魔して、内容が飲み込めなかったんだな。
私が名字の体を抱いて肩や背中を撫でていると、ぐっと顔を近付けてきた。
あっという間に重なる唇。

「…ふむ」

一応、最初の部分くらいは実行できるのか。

「あの…だめだった?」

自分から唇を重ねてきた蘇が、おずおずと尋ねる。

「いや、それでいい。可愛い接吻じゃないか」
「か…わいいって…」
「関係ないと思ってるか?十分必要なことだぞ。相手に可愛いと思わせてこそ、色の術だろう」
「そうだけど…」

面と向かって言われるのは恥ずかしいというやつか。
そうやって伏せ目がちになるのも十分そそる仕草だとは、まだ気付いていないんだろうな。

「いいよ…そのまま、私の体に触れてごらん」

先を促せば、名字は遠慮がちに私に触れてくる。
最初は手や腕、肩といった無難なところ。
上へ上へと辿って、私の頬に触れる。
それからまたやんわりと口付けて、首筋をなぞりながら……手が止まった。
この先、進んでいいか迷っている。

「ん…今日は私も脱ぐから、そのまま中に入れていいよ」
「うん…」

袂から、するりと名字の手が差し込んでくる。
私の胸や腹を撫でながら、触れた胸の突起に戸惑った。
少しずつ、この先のことも教えてやらないとな。

「名字」
「はい…」
「閨では普通、女は受け身で自ら男を煽る行為をほとんど行わない。だが、お前はくのいちを目指しているんだよな?その為には男の体も知り尽くさなければならない」
「………」
「先日、私が名字にしてやったことを覚えているか?そこをどんな風に弄れば気持ちよくなるか…考えてやってみろ」

私の言葉に、名字は今にも泣きそうなくらい顔を赤らめ、ちらりと私の顔を盗み見た。
それから、十分悩みながらも、ゆるゆると胸の周りを触り出す。
男の体をこんな風に触るのは初めてで、女の体とは違い、勝手がわかりにくいのだろう。
女は凹凸がはっきりしてるからな。

「あ……な、なんか固くなってきた…こんな感じでいいの?」
「触り方はな。欲を言えば、もっと焦らす要素が欲しい」
「た、例えば?」
「舌で周りをくるくる舐めるとか」

頂点を弄られるのもいいけど、周りから攻められるともっといいんだよな。
それを伝えると名字は、や、やってみると言って体を屈ませる。
生暖かい舌が触れた時、私の体には甘い痺れが走った。

「ん…ふぅ、ちゅ…ちゅう……」
「名字、愛撫において重要なのは舌使いだ。それを極めればどんな男だって簡単に落ちる」
「ふ……ちゅ、は…んん…はぁ……」
「そうだ…ただ吸えばいいってものじゃない。舐めて相手を感じさせるんだ。ゆっくり、丹念に…強弱をつけて……」
「んんっ…ぁ……っふ…」

私の胸を夢中で舐める名字の姿を視界に入れて、私も名字の体に触れる。
背中をなぞり、頭を撫でる。
名字は懸命に愛撫を施した。
左右とも、私の胸は名字の唾液で濡れている。

「言ってしまえば体中、どこだって性感帯だ。どう触るかによって、反応が変わってくる」
「うん…」
「胸で十分男を煽ったら、段々と下に向かうべきなんだが…」
「うん、?」
「今日は私から脱ぐ。男の一物を見ても、騒ぐなよ」

ここまでくるのがやっとの名字に、褌を外してみろと言ったところで実行はできまい。
私は自分で結び目を外し、名字の前に晒け出してやる。
名字は初めて見る男のそれに、目を丸くして食い入るように眺めた。

「そうまじまじと見られると恥ずかしいんだが…」
「あっ、ご、ごめん」

名字は慌てて視線をそらす。
頬が赤かった。

「これが、臨戦態勢…というか十分に反応した男の状態だ」
「す、凄い…本当に勃ってる…」
「………。本来なら、これを十分に濡れた名字の中に挿れて、私も達するのだが…本番はしない約束だからな。手で私を満足させてみろ」
「触っても、いいの…?」
「あぁ。そっとな」

言葉通り、名字は恐る恐る男根に触れた。
触られた瞬間、私の方がピクリと動いてしまったから、驚いてしまった。

「あ、あったかい…」
「血液が集中してるからな」
「これ、どうやったら鉢屋くんは気持ちよくなれるの…?」
「掴んで、ゆっくり上下に動かすんだ。男のこれは、上下に擦られると皮が動いて気持ちよくなる」
「そうなんだ…」
「だが、これが一番難しいところだ。力加減と速度、そして感じる場所が人によって違う。もちろん大きさも。どういう風にしたら相手が一番気持ちいいのか…相手の様子から、それを判断する。絶対上手くいく方法なんてないから、そこは忘れるな?」
「わ、わかった」

名字は真剣に私の一物を見つめながら、言われた通りに上下に動かす。
どうやらキツク握ってしまうと痛いだろうと考えているらしく、触り方が酷くもどかしい。
確かに、力任せに握られたら痛いけど…もう少し強く握ってくれた方が、気持ちいい。

「私のは、もう少し強くても平気だ」

名字の手の上から一物を掴み、上下に動かした。

「あ…先から何か、出てきた…?」

鈴口から漏れた液体を目に留め、名字は首を傾げる。

「先走りの液で…男は気持ちよくなるとこれが出てくる」
「じゃぁ今、鉢屋くんは感じてる?」
「そこそこな」
「えー…」
「仕方ないだろう。まだ名字は慣れていないんだから」

再び名字だけに握らせて動かさせる。
名字の動きは単調で、それはいいんだが要領を得ていない。
ただ動かしているだけだ。
結局その日は名字の手では達せなくて、私の方が疲れて役に立たなくなった。
名字は申し訳なさそうな、悔しそうな顔をしている。

「口を使うようになったらもっと簡単になるから、そう落ち込むな」
「だって…なんか…なんか……」
「代わりに私が名字を満足させてやろう。ほら、今度は私に身を預けて」

若干ふて腐れ気味の名字に口付けを落とし、布団に押し倒す。
名字は慌てて口を挟んだ。

「そんなっ、いいよ!私、今日全然上手くできなかったし…またあんな、恥ずかしいこと…」
「慣れる為にはとにかく経験の積み重ねだ。それに、名字の感じるところを自分で知るのも、大切なことだぞ」
「っ……!」
「できれば、普段から自分で慣らしてくれると助かるんだが…」
「無理!そんなの絶対無理!」
「…そう言うと思ったから、やっぱり私がするしかないんだよな」

正直生殺し状態でキツイのは私の方なのに…。
ぶんぶんと首を振る名字の胸に触れながら、私はまた自身が反応するのを感じ取った。




名字への指導を終えて、こっそり自分の部屋に戻る。
同室の雷蔵は既に眠っていて、私が外に出ていたことも気付いていない。
かと思いきや、長年一緒にいる間柄。
やはり騙せきれなかった。
雷蔵は私が戻ってきたことを知ると、重そうな瞼を押し上げて聞いた。

「お帰り。遅かったね…最近どこに行ってるの?」
「ん?あぁ、ただいま。いや、ちょっとね」
「僕は君のすることにとやかくは言わないけど…ここのところ、毎日じゃないか。好きな子でもできたの?」
「もしそうなら真っ先に言ってるさ」
「じゃぁ…」

何なの?
そう問いたいであろう雷蔵に笑いかけて、私は心配ないと首を振った。

「所用があってね…そう長くも続かないから、見逃してくれよ」
「…いいけど、君が何かすると僕にまで被害がくるんだから、気をつけてよね」
「そこは承知している」
「じゃぁいいや」

大雑派な雷蔵は、その答えで納得はしていないが許してくれたらしく、再び目をつむる。

「明日、実習あるし…早く寝た方がいいよ」
「そうするよ」

雷蔵の隣で、部屋を抜け出す前の状態のままの布団に潜り込み、私も瞼を落とす。
名字の部屋を出てから、人のいない場所で一度達してから帰ってきた。
心地良い疲労感と眠気がさっきからよどんでいる。
名字の部屋に行く度にこうだ。
毎回、とはいかないがかなりの頻度で抜いている。
あれだけ美味しそうな餌を前に、最後まで手を出せなければ当然だろう。
名字の部屋を出て、自慰をする時は名字の乱れた姿を思い浮かべて達する。
直前まで見ていた光景が、脳裏に焼き付いているせいだ。
せめてこれくらいは許されるべきだろう。
それにしても、好きな子か…
経験を積む為に女を抱くようになってからは、相手に全然想いが傾かなくなったな。
半ば遊び感覚なところもあるし。
くのたまを恋の相手にするのには、色々と問題がある。
そう考えると、名字はかなり特殊だ。
くのたま特有の凄みとか、矜持とか、心に隠し持った刺はないし…
おまけに忍たまの私に手ほどきを受けたいだなんて、つくづくくのいちには向いてないんじゃないか?
性格だって、極端にキツい訳ではないし…
元々行儀見習いだと言ってたしな。
芯まではくのいちに成り切れないだろう。
じゃぁ、私は何であいつに付き合ってやっている?
くのいちになるのを諦めさせる為じゃなかったのか?
わからん。
わからんが、何となく嫌な気はしない。
名字が相談しに来たのが私で良かったと、今では本気でそう思っていた。




「今日の実習場所どこだっけ」
「裏裏裏山だよ」
「裏裏裏山か…少し遠いな」
「珍しくね。よっぽど今日の実習がキツイってことじゃない?」
「あー…やりたくないとは言わないが、面倒臭い」
「最近の三郎、疲れてること多いしね」

だから夜はちゃんと寝なきゃだめだよ、なんて雷蔵のお叱りを聞き流していたら。

「鉢屋く…きゃ!」
「………」
「え、何。あの子三郎の知り合い?」

廊下をかけてきた名字が、何もないところですっころんだ。
何だこのコントは。

「いたたた…」
「大丈夫?」
「あ、大丈夫だよ。ありが…きゃっ!」
「全く、お前ときたら、廊下を走るなというのは一年でも知ってることだろう?」
「ご、ごめん…」

名字の腕を引っ張って立たせると、恥ずかしそうに顔を赤らめた。
そもそも何もないところで転ぶって、くのたまとしてどうなんだ…

「えーと、二人は知り合い?」

一人ついていけない雷蔵が首を傾げる。

「まぁ、ちょっとな」
「名字名前です…不破くんとも同じ、五年生だよ」
「名字さん…ああ、そういえばいたよね!合同実習の時に何度か見掛けたよ」

雷蔵はやっと名字のことがわかって、にこにこと対応した。
釣られて笑顔になる名字。
何だか気に食わない…。

「で、結局お前は何の用があったんだ?」

少し雑に聞けば、名字がそうだった!と私を見る。

「五年の忍たまが、今日これから実習だって聞いて…鉢屋くんを応援しに来たんだ」
「は?」
「頑張ってね!怪我だけは、気をつけて」

惚ける私に、笑顔を向ける名字。
雷蔵だけが突然慌てて先に行くと言い出し、走って行ってしまった。

「あ、おい雷蔵!待てって…!」
「ごめん!邪魔するといけないから!」
「雷蔵それ勘違い!誤解だから!」
「は、鉢屋くん!」
「あ?何だよ」

すぐに雷蔵を追い掛けて行こうとする私を、名字が止めた。

「あのね、今日の実習、ちょっと大変なんでしょう?疲れてたら、無理に来てくれなくていいからね」

と、遠慮がちに伝える。
私はそれに首を振った。

「大丈夫だ。時間になったら部屋に行くから…お前は寝て待ってろ」
「うん…」
「私が言ったこと、忘れるなよ?」

予習は常に行っておくこと。
何もかもが初めての名字には、必要なことだ。
それから…

「…応援、ありがとな。頑張ってくる」
「…っうん!」

名字が嬉しそうに笑ったのを見て、頭を撫でてやった。




案の定、その日の実習はきつかった。
学園に戻ってくる時には皆くたくたの泥だらけで、私も例に漏れない。

「あー…早く風呂入って汗流したい」
「その前に俺は食堂のおばちゃんの料理が食べたい」
「今夜はぐっすり眠れるね…」

私の仲のいい奴らは思い思いに声を出し、学園までの道のりを歩く。
隣にいた雷蔵が、こっそり耳打ちした。

「三郎、今日も夜どこかに行くの?」
「あぁ」
「こんな日くらい、ゆっくり休めばいいのに」
「そうは言ってもな…」

実習までに、名字に教え込まなきゃいけないことはまだまだある。
途中で投げ出すなんてことはできないから、私の気持ちも変わらない。
名字にも、行くって言ってしまったしな。

「君が決めたことなら仕方ないけど…無理はするなよ」

雷蔵の心配を頭に入れ、私はあぁと呟いた。
結局、夜になって私は名字の部屋に行った。
しかし、後になって私は、やはり今日くらいは休むべきだろうということを悟った。
疲れで、体の反応が悪かったのだ。

「んっ…は、ぅ………あれ、何で…?」
「あー…」
「わ、私下手だったかな?気持ち良くなかった?」

口淫しても全く勃たない私を見て、名字は泣きそうな顔をした。
違う、お前のせいじゃない。

「悪い…思ったより私は疲れていたみたいだ」
「え、?」
「名字のせいじゃないから…気にするな。どうもさっきから、意識が飛びそうで…」
「そんなっ、だったらゆっくりしてくれれば良かったのに…!」
「悪いな」
「ごめんね、私の覚えが悪いから、鉢屋くんはこんなに疲れてる中…」
「あー…それは違う」

何も名字の覚えが悪いせいだけじゃない。
私の足は自然と…この部屋に向かってたんだ。
眠かろうが、何だろうが。

「私が、名字に会いたかったんだよ…」
「、…え?」
名字が目を丸くする。
私は最低限の身なりを整え、すぐ近くにある名字の体を引っ張った。

「悪いけど、少しここで休ませてくれ」
「それはいいけど、だったら私、新しい布団敷くね?二人だと狭いでしょ?」
「いや、いい」
「でも…」
「いいから私の隣にいてくれ」

華奢な体を抱きしめ、私は布団を被る。
名字は腕の中で未だおろおろしてた。
その様子が可愛いな、なんて思いながら私は…自然と唇を重ねていて。
名字の驚いた顔を最後に、ついに夢の中に入った。




目を覚ますと、腕の中に名字がいた。
平和そうな顔をしてすやすやと眠っている。
寝顔が可愛いなーと寝ぼけながらに思って、何でこんなことになってるんだ?と、頭を捻らせること数秒。
私はやっと事の次第を思い出した。
そして次に考える事は。

「っ、名字起きろ!遅刻するぞ!?」
「ん……ふぇ?はちや、くん?」

目覚めたのは始業ギリギリだった。




「全くもう…あれだけ言ったのに、僕の言うことを聞かないんだから…」

雷蔵はそう言いながら、膨れっ面をした。
放課後、私は遅刻の罰で空き教室の掃除を言い渡されていた。
面倒な事この上ない雑用だ。
それを、雷蔵に頼んで手伝って貰っている。

「大体、僕は言ったよね?君が何かすると、僕にまで被害がくるって…」
「悪い」
「そう思ってるんなら、君が夜な夜などこに言ってるか、教えてくれてもいいんじゃない?」
「それは――」

さすがに言えない。
そう思った時、教室の戸が開いて名字が現れた。

「あれ?鉢屋くんに、不破くん?」
「名字さん…どうしたの?こんな場所に」
「あ、私今日寝坊しちゃった罰で、ここの掃除を言い付けられたんだけど…」

そう言った途端、雷蔵はへえ?と笑顔を浮かべたまま私を見た。
咄嗟に目をそらす。

「何だ。散々否定しといて、やっぱりそういうことだったんじゃないか」
「いや、雷蔵違う…これには深い事情があって…」
「名字さんが来たんなら、僕が手伝う必要はないよね?後は二人で頑張って」

雷蔵はそれだけ言い残し、教室から出て行ってしまった。
誤解されたと落胆する私に、名字は目をきょとんとさせている。

「何かあったの?不破くん行っちゃったけど…」
「うん。いや、いい。後でちゃんと話すから」
「うん?」
「それより早く、掃除しよう…」
「あ、やっぱり鉢屋くんもそうだったんだね!一人じゃなくて良かった!」




「で?」
「だから、名字の部屋に行ってたのは事実だけど…別に何にもしてないし」

というのは嘘だけど。

「じゃぁ何の為に彼女の部屋に通ってるのさ」
「それは…あいつに、人には言えない相談事を持ち掛けられてて、」
「ふぅん…名字さんはよっぽど三郎のことを信頼してるんだね。それか、好きとか」
「ら、雷蔵!?何を言ってるんだ!?」
「それに、三郎こそ名字さんのこと満更でもないんだろ?」
「な、何で…」
「だって、いくら相談に乗ってるからって、好きでもない子の為に毎晩通ったりしないよ。特に昨日なんか、あんなにくたくただったのに」

雷蔵の言葉に返す言葉が見付からない。
私が名字を好き?
そんなばかな…私はただ、名字に指導してやっているだけで…
恋愛感情なんて、これっぽっちもない。
うん、ある訳がないんだ。

「全く、君も素直じゃないなぁ」

雷蔵の、笑っているが少し呆れたような声を、耳を塞いで拒絶してしまいたかった。

「昨日のことはもう許すけど…次はないからね?朝帰りするのはいいとしても、時間だけはちゃんと守ってよ?」
「…わかった」
「うん。じゃぁ、いってらっしゃい」

初めて雷蔵に見送られながら、私は名字の部屋に向かった。
途中、雷蔵の言葉がぐるぐる頭を回る。
私が名字を好きだと?
好きなら好きと、とっくに気付いて想いを伝えているはずだ。
私の場合。
しかし実際はそうでない。
だから、私が名字に恋してるなんて言うのは、雷蔵の思い込み。
勘違い。
私は、名字のことなど…――



「…鉢屋くん?」
「…、え、あ、何だ?」
「うん…何か心ここに在らずって感じだったから…」
「あぁ、悪かったな」
「ううん、無理してないならいいの」

名字は私の一物を握ったまま、ふわっと微笑んだ。
畜生、なんか可愛い。
雷蔵に言われた日から、私は名字に対して時折探るような視線を向けてしまう。
例えば、こいつに好きな男でもいるのかなとか。
私のをくわえていて、実際どんな気持ちなんだろうとか。
口淫するのも大分上手くなったな、とか。
名字は唾液をたっぷり私のそれに垂らすと、口の中で丹念に舐め回す。
正直気持ちいい。

「ふ…ちゅ、んん…んっ…んっ…んっ……」
「――はぁ、あぁ、いい……良くなったじゃないか」
「んっ…んん……ぁふ、ん…ちゅう…っ」

顔を上下に動かす名字の髪を耳にかけてやり、身を任せる。
初めは接吻一つで顔を真っ赤にしていた蘇が、今じゃ口淫しながら自分の体を濡らすことができる。
大きな進歩といえば進歩。
だけど私は何か寂しい。
名字が上達するということは、私の指導も終わりに近付いているという訳で…
実際、そろそろその時が迫っているのだろう。
達する限界のところで顔を上げ、手で緩く扱きながら、名字は私を見上げた。

「鉢屋くん、あのね」
「ん?」
「私…実習が決まったの」

ビクリ。
考えていたことが的中し、名字の掌で一物が揺れた。

「そうか…そろそろだと思ってたが」
「私、上手くなったかなぁ?ちゃんとできると思う?」
「あぁ…名字ならできるよ」

何せ私の指導のお墨付きだ。

「そっかぁ…良かった!鉢屋くんに言って貰えると、凄く自信がつくよ」

名字は笑顔で喜んだ。
嬉しいか…だけどその反面、私は悲しくてたまらないけどな。
名字は喜々として話を続けた。

「相手の忍たまは、同じ五年生の久々知くんでね…あ、本当はこれ言っちゃいけないんだけど、鉢屋くんだから、特別ね。内緒にしてね?」
「あぁ…」

しかもよりによって相手は私の友人か。

「仲の良いくのたまには、久々知くんなら大丈夫だよって言われて……彼、豆腐食べてるところしか記憶にないから、ちょっと想像できないんだけど、」
「あぁ…」
「鉢屋くんに教わった方法で、満足させられればいいなって思う…本番は私きっと、いっぱいいっぱいだろうから」

と、名字は笑った。
その頬を撫でて、私は名字の体を上に引き上げる。

「、鉢屋くん?」

名字はきょとんとした顔で私を見ている。
体を布団に埋めて、赤く熟れた唇に吸い付いた。
少しだけ、抵抗される。

「んっ…ふ、や……ん…はぁ、ど…したの、急に、?」
「兵助を満足させる前に…私を満足させてくれないか?」
「え、?」
「大丈夫…最後まではしない。そこは守る」
「ちょ、鉢屋くん?ねぇ、本当にどうしたの――っ、!」
「私に身を任せて、感じてくれればいいから」

名字に深い口付けを施しながら、手を乳房に這わす。
指導が入った手つきではない。
これは、男が女を抱く時のやり方だ。
反応を見ながら、乱れた姿をもっともっと見たくて、力加減を変える。
感じる場所を探る。
名字は私が触る度に、甲高い声を上げた。

「あっ、はぁ…!は、ちやく、なんでこんな……んっ、いつもとちがうよぉ…っ」
「本番なら、そんな悠長に事は進まない。実習も決まったんなら、流れを覚える為にも、今はそのまま…」
「ん…はぁ、やぁ……ふ、んんっ…!」

快感に身を悶える名字の体を愛撫しながら、隅々まで指を這わす。
名字は泣いていた。
悲しみではなく、与えられる刺激に堪えて、涙を零していた。
それを見ると私は嬉しくなる。
一通り名字の肌を堪能した後、両足を広げて陰部をあらわにする。
くぱぁ、と割れた間にそそり立つ男根を挟み、先端が肉芽に当たるように動かした。
そのまま名字の足を閉じ、肉の間に私が収まる。
名字は不思議そうな顔をして私を見つめた。

「素股っていう…本番にはならないが、似たようなものだよ」
「すまた…?」
「名字が濡れてるから、そう悪くもない。一緒に気持ち良くなれる」

それだけ告げて、まだ理解できていない名字を前に、腰を動かす。
途端に強い快感が走り、それは肉芽を擦られている名字も同様だった。
泉から溢れ出た粘膜が手伝って、滑りを良くする。

「ひゃぁ!うん、あっ、はち…やくん、なに、これぇ!ひん、あん!」
「気持ちいいだろうっ…?本番は、これに似た事をするんだよ、」
「ふぁっ、あん…あっ…あっ…あっ…あぁ…っ!」

ぐちゅぐちゅと液体の擦れる音がする。
名字は快感に我を忘れて声をあげ、突き上げる度に胸を揺らし、乳首を尖らせた。
そうしてると、まるで本当に名字を犯しているようだ…
名字と一つになっていると錯覚できる。
私の気持ちは、一つだった。
嗚呼、私は名字が好きなんだ…
いつの間にか恋をしてしまった。
できれば実習なんて受けさせず、私が抱いてしまいたいと何度も思う。
突き動かした腰が止まらなかった。

「はぁ、名字…っ」
「あぅ、はちやくん…あっ、あんっ、あっ、あ…!」
「っ、達しそうだ………名前…っ」

名前の足をしっかり掴んで、男根に擦り合わせる。
もう、限界だった。
乱れた名前の姿に、耳に届く声に、擦れる陰部に…
私のそれは、解放することを望んだ。
ぬちゅぬちゅと濡れた壁の中、私の出した先走りと混ざって、滑りは十分。
私は快感に打ちひしがれる名前の顔を見ながら、自分の欲望を吐き出した。

「っ―――!」
「ひぁん、あっ!あっ…あ…ぁぁ……っ」

私が達する直前、びくんと震えて、名前も絶頂にたどり着く。
互いに迎えた終着点で唇を貪り合い、見つめ合った。

「はちやくん…」
「三郎でいい。そう呼んでくれ…」
「三郎くん…」

切なそうに私の名前を呼んだ唇を、もう一度塞いだ。



「はー…」

何もない空を見上げる。
雲一つない晴天とは、このことだろう。
小鳥たちが朝からやかましく囀っているのを聞いて、寝不足で苛々している私には今なら手裏剣で簡単に打ち落とせる気がした。

「はー…」

もう一度意味のない声を出す。
ぼけっと部屋の入口で突っ立ってたら、雷蔵に心配された。

「大丈夫?もしかして、寝てないの?」
「いや…なんだ。寝てないというか…寝たくなかったというか…」
「つまり、寝なかったんだね」

結論だけを言うな。
正直、私は昨晩眠れなかったのだ。
名前の色の実習があった為に。
名前とは実習の相手と日取りを聞いた時を最後に、会っていない。
これだけできるようになればもう私の指導なんてなくて大丈夫だ。
そんな、格好付けたことを去り際に伝えて、名前もうんと頷いたから、私の役目は終わった。
会いに行く理由などなかった。

「三郎、とにかく支度して。今日は座学だけなんだから、着替えるだけだろう?」
「そうだな…」
「兵助たち、もう食堂に行ってると思うよ」

兵助…今はその名を聞きたくないが。

「ほら、早く!」
「わかった…」

私は珍しく雷蔵に急かされて、のろのろと行動を起こした。
そして、食堂にて。
兵助の姿はそこになかった。

「あれ、兵助は?」

と勘右衛門に聞く雷蔵。
勘右衛門はえーと、と言いよどむと、声を小さくして囁いた。

「実は兵助、昨日実習があってさ…」
「実習?い組は何かあったのか?」
「そうじゃなくて、個人的な…くのたまの実習だよ」

そこまで言うと、八左ヱ門と雷蔵はえ、と固まった。

「あ、そ、そうだったんだ!じゃぁえっと…まだ部屋に戻ってきてないとか?」
「ううん、今朝早くに戻ってきたよ。でも、何か考え込んでたみたいで…朝食は後で取るって言ってたから」
「実習の後は午前の授業は免除だからなー…にしてもそうならそうと教えてくれれば良かったのに!」
「いや、さすがにそれは言わないんじゃない?」

八左ヱ門が相手なら尚更…
雷蔵と勘右衛門の視線が八左ヱ門に突き刺さり、八左ヱ門は首を傾げた。
要するに、お前に話すと面倒臭いということだ。

「でも、三郎はあんまり驚いてないみたいだね。もしかして知ってたの?」

勘右衛門に問われて、私はまさかと答えた。

「五年にもなれば、そういうことも増えてくるだろう。今更驚きもしないさ」
「あー…なるほどね」
「なぁ、それより俺腹減ったんだけど。早く注文しねぇ?」

八左ヱ門の空気を読まない発言で、場は収まった。



放課後。
私はまた中庭でふらふらと歩いていた。
さすがに徹夜で睡魔が襲ってくる。
どこか昼寝にいい場所はないかと歩いていると、後ろから声をかけられた。

「あのっ、鉢屋くん!」

その声は…名前だった。
私がゆっくりと振り返ると、名前は少し戸惑った顔で言う。

「あの…少し話しがあるんだけど、いいかな…?」
「…あぁ」

私は曖昧に返事をした。
そして、名前に引っ張られて連れて来られたのは、初めて私と名前が話をした、あの場所だった。
名前は私を連れてきたくせに、もじもじとしていて一向に話そうとはしない。
可愛いなぁ。
こんなに可愛い名前は、昨日兵助の手によって女になってしまったのか。
ずきりと胸が痛む。
名前が話す気がないのなら、私から切り出させてもらおう。

「昨日の実習…どうだったんだ?」
「!」
「名前のことだから、失敗したってことはないだろうけど…私も一応、気にかけていたからな」

本当は夜も眠れないくらい、ずっと気になってたんだけど。

「あ、あのね!」

名前が声を張り上げて言う。

「私、上手くいったよ!鉢屋くんに言われた通りに頑張って…問題なく、最後まで……」
「………」
「…って、そう言えたら良かったんだけど」
「、え?」
「ごめんなさい!」

がばっ!と名前は頭を下げ、私に謝ってきた。
何で謝られるのかわからない…
それに、そう言えたら良かったって、何?
顔を上げた名前は、目をうるうるとさせながら、たどたどしく説明した。

「じ、実は鉢屋くんに教わった通り、ちゃんと久々知くんの相手をしてたの…最初は」
「最初は?」
「だけど、途中から何か嫌になってきちゃって…初めてだから怖いっていうのもあったんだけど、私、久々知くんに触られる度に、鉢屋くんのこと…思い出して……」
「…、え」

思考が止まる。
それって…

「私…気付かない内に、鉢屋くんに恋してたみたい……だから久々知くんがいくら優しくしてくれても、鉢屋くん以外の人には触りたくないっていうか…触られたくもなくて、」
「名前…」
「こんなの、くのいちを目指すにはあっちゃいけないことなんだけど、でも、やっぱりだめで……結局、途中で止めてもらったの」

名前の赤い顔が俯く。

「鉢屋くんにはこんな気持ち、迷惑だってわかってる。でも、でも私――」

続きの言葉を聞くことはなかった。
私が、名前の唇を塞いでいたから。
私の唇で。
久しぶりに触れた名前の唇は甘く柔らかく、私はずっとこれを欲していたのだと知る。
ちゅ、と音を立てて啄めば、名前の顔はおもしろいことになっていた。

「は、鉢屋くん…!」
「三郎って呼んでって、言ったよな?」
「う……三郎くん」
「ん」

もう一度、軽い接吻を交わす。

「良かった…」

私の口から漏れた言葉は本心からだった。
何が良かったの?と名前が首を傾げた。

「全部…良かったと思ったんだ。名前が兵助に抱かれなかったのも、名前が私を好きだと言ってくれたことも、私の恋が実ったことも…」
「え……嘘、ほんとう、に?」
「本当だよ」

目を丸くして驚く名前に、私は軽く微笑んで答える。
するとじわじわと涙が浮かんできて、名前は私の胸に顔を押し付けて泣いた。

「っ、うー…ゆめ、みたい…」
「夢じゃないさ」
「でも、だって…だって…!」
「私も名前が好きだよ。正直、実習が決まった時には、心臓が凍り付くかと思ったくらいだ」
「そん、なに?」
「あぁ」

ついでに、相手は兵助だったしな。
気が気じゃなかった。
でなければ、昨日はぐっすり眠れたはずなんだ。
そうじゃなかったから…

「名前」
「なに、?」
「この先…もう実習なんか受けるな。他の男になんて名前を触らせたくない」
「三郎くん…。私もそうしたいけど、無理だよ。進級できなくなっちゃう。昨日の補習だってやらなくちゃいけないし…」
「私以外の男に触られるのが嫌なのにか?」
「それは……、」
「多分、名前はまた同じことになる。名前はわかってないかもしれないが、お前はくのいちに向かないよ。だから、好きでもない男に抱かれるのは体が拒否する…普通の女の子なんだ」

私は名前の気持ちを傷付けないよう、ゆっくりと説明した。

「それに、無理してくのいちになる必要もないんだろう?」
「それは…そうだけど、」
「なら、そんな自分を傷付ける道なんて選ばなくていい。名前は笑ってればいいんだ」
「学園を辞めたら、どうすればいいの?」
「なに、それこそ簡単だよ」

私はにやりと笑って、名前の耳に囁く。


「名前は、私のお嫁さんになってくれればいい…そうしたら、全てが丸く収まるだろう?」

「!」

ぽっと、名前の顔が火がついたように赤くなる。
ぱくぱくと金魚のように口を開閉させるのがおかしくて、私は思わず笑ってしまった。

「三郎くん!」

真っ赤な顔をした名前が、照れているのか怒っているのかわからない顔で叫ぶ。

「もう…そんな、笑わないでよぅ…」
「ははは、悪い。名前が可愛いから」
「そんなの理由になってない…」
「ん、だめか?」
「だめ……じゃ、ないけど…」
「そうかそうか」

名前は恥ずかしさを隠す為か、ぷいと顔を背けた。
その仕草、表情一つ一つが、どれだけ私を惑わせているのか知らないのだろうな。
私は名前の体を抱きしめて、もう一度言葉にして伝えた。


「名前…卒業したら、私のところに嫁いで欲しい」

「………はい、」


答えを聞いた瞬間、私はありったけの想いを込めた口付けを、愛する名前の唇に落とした。

恋の手ほどき


ヨルたんに、相互記念の鉢屋を押し付けます☆
詳細な指定がなかったからとは言え、裏でごめんね\(^o^)/
自重できなかったYO!
だけどこれからも仲良くしてねー!

みどりぬ
2010/08/23