愛 憧れ 慈しみ 友情 欲望

君への気持ち。


きっかけは今となっては些細なこと。いつから好きだったかなんて問題じゃない。いつも一緒にいるだけではち切れそうなほどの気持ちをもてあましていた。嫌われたくないあまりに緊張して、何も話せなかったりした。 それなのに。 彼女が俺を好きだなんて、思い詰めたような表情で言うから。 理性の糸がぷつりと切れそうになった。でもそんなのダメだ。名字が好きなんだ。今まで必死で抑えつけてきたのだから。嫌われたくない。人にどう思われるかなんて気にした事もなかった。

彼女を見つけるまでは。


世界の色が変わった。こんなに世界はきらきらしているものだったのか?こんなに世界はいとおしいものだったのか。 そんな彼女が俺の事を好きだという。これ以上の幸せはあるだろうか?あまりの幸せにすぐに反応が出来なかった。彼女が俺の手を強く強く握って初めてこれは現実だと気づいた。彼女に精一杯の俺の気持ちを伝える為の言葉を探した。でも出て来たのはこれだけ。この言葉だけ。 好き。俺の気持ちを表すにはあまりに不十分なこの言葉を彼女は受け止めてくれた。 幸せすぎて怖いくらい。 だけど知ってるんだ。俺の気持ち全部はまだ名字に伝えるには重すぎるということ。俺のこんな気持ちを知ったら彼女はどう思うだろう?怖がるだろうか。重たいって言って嫌がる?でもいいんだ。少しずつでいいから、俺の気持ちを知っていってくれれば。静かに静かに、君との絆を繋いでいこう。そうしたらもう離さない。本当に大切にしていくよ。三郎に妬いて君に八つ当たりしたりしないようにもする。ああ、名字を好きになってからは自分が自分じゃないみたいだ。きれいな気持ちや汚い気持ちがないまぜになって生まれるこの感情。 彼女を愛してるんだ。


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