007:想う 





晴れた日には山を見上げるのが、グリーンの習慣だった。悠然と聳えるシロガネ山は、とても美しいが、その実、とても厳しいのだとグリーンは知っている。初めて登った時は、何度か死にかけた。ポケモンがいなかったら、今こうしてここに立つことはできなかっただろう。
(…アイツ、元気かな…)
ぼんやりと考える。幼馴染みにはもうしばらく会っていない。彼のことだから、きっと無事だとは思うが…
「むしろ、あの環境で無事なのが心配だ。どういう身体してんだ?イーブイでも適応はできないだろ」
呟くと、足元のイーブイが首を傾げた。抱え上げて、話しかける。
「おまえも、シロガネ山で修行してみるか?グレイシアになれるかもしれないぞ」
「…」
イーブイは嫌そうに顔をしかめて、プイとそっぽを向いた。『シロガネ山で修行しなきゃグレイシアになれないなら、他の進化を選択する』。そう言っている様で、思わず苦笑する。
「そうだな。おまえはいろんなポケモンに進化ができるんだ。あのバカみたいになる必要はないな」
「…」
そう笑って頭を撫でる。しかし、その笑みはどこか寂しそうだった。
「グリーンさん!!そろそろジム開けましょう!!」
ジムトレーナーに声をかけられ、彼は返事した。
「………」
もう一度だけ、山を見上げる。今は傍らにいない幼馴染みに、ほんの少しの寂しさをおぼえた。



遠い君を 想う



▼緑赤?ここに載せるのは初めてですね。サイトだといつも以上に趣味(ヒビキ受け?)に走っちゃうんですが、緑赤も好きです。グリーンさん、寂しがり屋とかどんだけ可愛いんだ(笑)




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