005:望む 





「グリーンさん、誕生日おめでとうございます!!」
ヒビキは満面の笑みで、そう祝ってくれた。おぼえてくれていたことが嬉しくて、オレも自然と笑顔になる。
「ありがとうな、ヒビキ」
頭をそっと撫でると、ヒビキが嬉しそうに笑った。その笑顔が愛しくて、胸が満たされる。
「あの…それで、プレゼントなんですけど、考えても何がいいかわからなくて…何か欲しいものないですか?何も要らないはナシですよ。僕がプレゼントしたいから、するんです」
「ん…っつったってな…」
オレは頭を悩ませた。ジムリーダーに就任して、収入もある程度入ってきている今、大抵のものなら買えるし、そう欲しいものなんてない。あえて、ひとつだけあげるとするならば…
「時間?」
「時間…ですか」
きょとんとした顔で、ヒビキがこちらを見上げていた。一々仕草が可愛いものだから、思わず笑みが零れる。
「そ。『Time is money』ってな。おまえといれる時間が、オレにとっては一番大事。だから、今日一日ヒビキといれる時間が欲しい」
「………っ」
ヒビキがみるみるうちに真っ赤になっていく。別に狙っていた訳じゃないが、どうやらツボだったらしい。赤い顔を隠すためか、正面から抱きついてきた。
「もう…それじゃ、僕が得しちゃうじゃないですか…」
「オレは、何か物をもらうより、そっちのがいいんだよ」
背中を軽く叩くと、ヒビキが見上げてきた。少し躊躇った後、目を伏せながら一言。
「…一日どころか、僕の時間なら、いくらでもあげます。一生分…」
ああ、生まれてきて良かった。会った記憶もロクにない、オレを産んでくれた親に、この時ばかりは感謝した。



君との時間を、望む



▼なんかすっげぇ甘めの話になりました。書いてて自分で悶えましたよ。駄目だ、コイツら、リア充過ぎる!!ドガースにだいばくはつ使わせたいです。
関係ないけど、昨日誕生日でした。脳内て金響に祝ってもらいました。嬉しかったですまる




[目次]
[しおりを挟む]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -