018:触れる 





スキンシップが苦手だ。
触れるのも触れられるのも好きじゃない。母親は幼い頃に亡くしたし、親父はオレの面倒なんて、幹部に任せてばかりいたから。ボスの息子であるオレに、自分から触れようとする奴は、あの組織にはいなかった。
最近は、ポケモンには触れる様になった。信頼関係を築くには、必須のことらしい。オーダイルのざらざらした鱗の感じや、フーディンの髭など、これはこれで悪くないと思う。
ただ、相手が人間…ヒビキとなると、ポケモンの様にはいかない。
「やったな、ソウル!!」
去っていった竜使い二人を見送り、呆然としていたオレに、ヒビキが笑いかけてきた。
「ああ、まあな」
「手を出してよ」
「は?」
「いいから」
言われるがままに手のひらを差し出すが、そうじゃなくて!!と首を振られた。
「上にあげて!」
「こう、か?」
訝りながらも、言われた通りにする。すると、ヒビキが満面の笑みを浮かべ、パチリとオレの手を叩いた。
「…??」
「ハイタッチだよ。ゴー兄やコトネと組んで、勝った時は必ずやるんだ」
「………」
オレは叩かれた手を、まじまじと見つめた。軽くだったので痛くはないが、何だか不思議な気分だ。
「どうかした?」
ヒビキが首を傾げた。いや、と否定すると、変なのとヒビキが笑った。
「じゃあ、僕はもう行くね。今日は楽しかったよ。また組もうな!!」
そう言って、ヒビキが手を振り去っていく。オレは後ろに控えていたオーダイルの頭を撫でた。ヒビキの手に触れたのは一瞬だったが、その感覚はおぼえている。オーダイルの皮膚と違って、柔らかくて、温かい。
ひんやりとしたオーダイルの皮膚を撫でて、オレはいつもより自分の手が温かいことに気付いた。



君の心に触れる



▼久々のお題。今年こそはちゃんと続けたいとは思うものの、有言不実行な未熟者なので…。



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