012:囁く 





小さな声で、耳元で、囁く。ヒビキは、どうやらこれに弱いらしい。
「なあ…いいだろ?」
「だっ、駄目ですよ、そんなこと…」
ヒビキはぶんぶんと首を振った。
「頼むよ。オレのこと、好きだろ?」
「でっ、でも…」
ヒビキは俯いた。元から、コイツは押しに弱いことを、オレは知っている。あと一押し。
「優しくするからさ。…な?」
「…っ」
耳元で吐息に近い声で囁くと、ヒビキはもう何も言えなくなった。肯定と受け取っていいだろう。
「じゃあ、決まりだな。早速やろうぜ」
「…しょうがないですね…」
ヒビキが項垂れて言った。反対にオレはご機嫌だ。

「よし、交換するぞ」
ヒビキは、ボールをため息混じりに見つめた。その中には、イーブイが入っている。オレがずっと入手したかったポケモンだ。
交換を終え、中から飛び出したのは、愛らしい姿のイーブイ。
「これからよろしくな、イーブイ」
頭を撫でると、イーブイは嬉しそうに目を細めた。
「これで満足ですか?」
ふてくされながら、そう言うヒビキ。オレは苦笑しながら抱き締め、耳元で再び囁いた。
「ありがとう、ヒビキ。愛してるぜ♪」
聞こえた言葉の意味を理解したヒビキは、顔を真っ赤にした。オレの腕の中には、イーブイに負けないくらい可愛い生き物がいた。



その耳に愛を囁く



▼…ここ最近、お題が場外ホームランな気がして、仕方ないんですが。1日1作って、キツい………でも止めない!!(`・ω・)←




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