家に帰ると友が必ず死んだふりをしています1 





※ほぼ日Pの初音ミクオリジナル曲「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」のTOVパロディ。CP要素はあんまないですが、ユーリ+フレンで同居ネタです。



 星が瞬く夜更け。帝都の下町の一角。明かりが灯っていないことに憂鬱な気分になりながら、僕はドアを開けた。入ってすぐの棚の上にあったマッチを擦り、蝋燭に火を灯した。ぼんやりと明かりが部屋を照らす。
 その明かりにより浮かび上がるのは、床の真っ赤な血の池と、そこに斃れる友の姿。
「ユーリ」
 僕は血の池の中心の友の名を呼んだ。背中から短剣で刺された様だ。何故か壁にまで、ベットリと血糊がついている。
「また派手にやったね」
 さながら殺害現場の様相にも、動じることなく、僕は友に呼び掛けた。すると、死体はむくりと起き上がり、ユーリが胡坐を掻いた。
「おう。すげぇだろ」
 どうだとばかりにそう言うユーリ。僕は少し眉をしかめ、
「やるんなら、片付けのことも考えてくれよな」
 と、割れた花瓶の欠片を拾い集めた。朝にはこんなものはなかったから、おそらく演出のためにわざわざ用意したのだろう。生けてあった花が可哀想だ。
「何だよ。名探偵フレン様が謎を解いてくれる様に、ダイイングメッセージも用意したってのに…ほら」
 ユーリは、床を指差した。そこには、『Flynn's sword』と赤い字で書かれていた。
「僕の刀?…犯人はソディアかい?僕の懐刀って意味で。…あまり面白くない筋書きだな」
「そう言うなよ。おまえの上司が書いたシナリオだぜ?」
 僕は肩を竦めた。バケツと雑巾を持ってドアに向かう。
「水を汲んでくる」
「ああ」
 家から出ると、階段を降りて井戸に行く。この井戸は、ユーリがギルドの依頼で、下町用にと作ったものだ。手でポンプを押すと、水がバケツへ注がれ始める。
 僕が家に帰ると、ユーリは必ず、死んだふりをしている。そもそも、僕の家に何故ユーリがいるのかというと、話は単純明解。僕とユーリは同居をしているからだ。



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