愛の呼び声 Yuri ver. 





※ユーリが惚気てるだけの話。



ん?『フレンってどんな奴か』って?
ああ、まあ…見ての通り、頭の固い奴だよ。四角四面で、融通が利かねぇ。
そんな性格のせいか、掃除とか好きなんだよ。前はリタとハロルドに作らせた洗剤で、楽しそうにカビ除去してたし………。
…ああ、気付いてると思うけど、あいつ、天然だからな。もう鈍感っていうべきか………人が心配してるのに、『大丈夫かい?ユーリ』なんて言ってのけるんだぜ。
たまにとんでもねぇ行動に出るしな。いざとなったら体当たりってのは、あいつの十八番だよ。無駄に大胆っていうかさ…そういうとこが、自己犠牲に拍車をかけてんだけどな。

そういえば、リタからは『戦闘バカ』って言われてたな。…ああ、意味は、そのまんまだよ。戦うのがが好きってこと。…でも、敵がいたらぶちのめすのが普通じゃねぇか?

あとは…好きなものは、食べ物なら断然肉だな。あいつ、ああ見えて肉食なんだよ。前にイリアと肉の調理法で盛り上がったって言ってたな。…創作料理作るって言ってたけど、あのお嬢さん、大丈夫かねぇ…

ん?…ああ。
…あいつ、味オンチなんだよ。本人、無自覚だから、なお質が悪い。手先は器用だし、真面目だから、レシピ通りに作らせりゃ、かなりの出来なんだが………オリジナルの料理なんざ作らせた日には─────。
…ああ、悪い。ちょっと昔のことを思い出して、な…。

逆に嫌いなもんは、イカだな。イカ料理は、嫌いなんだよ。まぁ、別に残したりはしねぇけど…あの見た目が嫌なのか、食感が嫌なのか………とにかく、イカは嫌いらしい。

それと…これ、意外に思うかもしんないけど、あんな堅物だけど、モテるんだぜ。まぁ、いかにも王子様って感じがするんじゃねぇの?オレに言わせりゃ、あんな猪突猛進な王子様なんていないと思うけどな。

あ?オレとフレン、どっちが強いかって?
…嫌なこと、訊きやがんな。おまえ、実は性悪なんじゃねぇの?

…昔から、あいつには何をやっても敵わなかった。剣も足の速さもケンカも、いつもあいつが勝つんだ。唯一、勝てるのは、口喧嘩ぐらいのもんだ。
ま、だから、心配してないんだけどな。あいつも、もう騎士団の隊長。アスベルみたいな部下もいるし、お姫様のエステルからも信頼されてる。
あとは、オレだ。あいつはあいつのやり方で、オレはオレのやり方で。…騎士団とギルド、過程は違えど目指すもんは同じだ。

………ちょっとお喋りが過ぎたな。おまえ、無口だから、ついいらねぇことまで話しちまった。『そんなことはない?』………そうかよ。───サンキュな。

ん?『フレンのこと、どう思ってるか?』
そりゃ、頭が固くて天然で無駄に大胆な───…って、何だよ、その顔。
『本当に?』って………
………。

……………ああもう、そんな目でこっち見んな!!生きた心地がしねぇ!!
………フレンが恥ずかしがるから、誰にも言うなよ?おまえ、シェリアとかに言ったりしたら、オレ、あいつに秘奥義かまされるかんな。

フレンとは、まあ、いわゆるそういう仲だよ。ここに来る前から、一応デキてたけど…
ん?フレンの嫌いなとこ?
ねぇよ、んなもん。真面目で融通が利かねぇのも、長所っちゃ、長所だし。味オンチなのも、人間誰しも欠点や短所の一つくらいあるだろ。天然なのは、あれはあれで悪くないし。男なら、全部まとめて受け入れてやれってな?足りない部分は、補ってやりゃあいいさ。

…そういや、最近、フレンと仲いいよな、おまえ?よく話してるし…別にいいけどな。そう簡単に奪えると思うなよ?

ん?何か呼んでるな。この声はフレンか。しゃあねぇ。
じゃ、もう行くわ。早く行かないと、フレンが拗ねちまう。まぁ、それはそれで悪くないんだけどな。
話の続きは、また今度───え?もういい?…お腹いっぱいって………言いやがったな、おまえ。
ん…何だー、フレーン?
…じゃあ、行くわ。

…話聞いてくれて、サンキュな。




▼元拍手文。昔書いたものを手直し修正した代物。「いつかサイトを始めたら、拍手文にするんだ」と想いつつ書き上げました。無事あげられて満足。 



[目次]
[しおりを挟む]



main

Top

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -