悪童と悪党 





※ロケット団イベント捏造。ゴールドとヒビキが一緒に旅しています。












僕らの前に立ちはだかるのは、胸に『R』の文字がある制服を着た、2人の大人。一人は戦闘員用の黒い制服だが、もう一人は幹部用の白い服に身を包んでいる。そう、彼らは、ポケモンマフィア・ロケット団。ポケモンを使って私腹を肥やす、最低な悪党だ。
その悪党が、僕達の行く手を阻む。傍から見れば、間違いなく絶体絶命のピンチなのだろうが、僕の頭の中は至って冷静だった。何故なら、僕の傍らには、相棒のバクフーンと、誰よりも信頼できる僕の片割れがいるから。
「ロケット団のアジトに忍び込むなんて、悪い子供ね。探検は楽しかったかしら?」
団員を従えたアテナが、冷淡な笑みを浮かべた。
「でも、お遊びももうお終い。悪戯が過ぎたわね。子供だからって容赦しないわよ」
アテナがボールを取り出し、それに応じて団員もボールを繰り出した。中から現れたのは、アーボックとスリープの二匹。
隣のゴールドが唇を尖らせて言った。
「何だよ。邪魔すんなよな、おばさん」
「お、おば…っ!?」
アテナが眉間をひきつらせる。おばさん呼ばわりがショックだったらしい。
しかし、ゴールドはそれを無視し、デンリュウを繰り出した。力強く鳴いて、しっぽの先を輝かせるその姿は、味方としてはとても心強い。
「頼むぜ、デンリュウ!!」
「パルパル!!」
デンリュウは気合い十分に頷いた。僕も、後ろにいたバクフーンを前に出す。
「よろしく、バクフーン」
「バフーン!!」
バクフーンが、背中の炎を燃え上がらせた。こちらも気力十分だ。僕は隣のゴールドに話しかけた。
「準備はいいか?ヒビキ」
「うん、いいよ。ゴールド」
ゴールドがニヒルな笑みで頷く。飛びっきりの悪戯を思いついた時の笑みだ。
恐怖なんてものは、全くなかった。あるのは、これから始まるバトルへの高揚感。
ゴールドと僕は、生まれた時から一緒にいる。互いの考えてることなんて、何も言わなくても、手にとる様にわかる。そんな僕らにダブルバトルで挑むなんて、無謀な話だ。たとえ大人だろうとマフィアだろうと、二対二で、僕らに敵う訳がないのに。
「いくぜ!!」「いくよ!!」
僕とゴールドの声が重なる。バクフーンとデンリュウが唸りを上げた。
悪を挫くための壮大な悪戯が始まろうとしていた。







悪童と悪党 
(ヒーローごっこもたまにはいいよね) 










▼金響で一緒に旅してたらいいなって。金響のため、ワタルさんには、引っ込んでもらいました←





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