ふわふわ、ふわふわ。

夢の世界に誘われる。












「…君、赤司君」

呼ばれているような気がしてゆっくりと目を開ける。

「…ん、テツヤ…?」
「良かった。ぐっすり寝てたんで起きないかと思いました」

目を擦り、ふぁ、と大きめの欠伸を零す。
…そうだ、ジャージに着替えるときに貸りていた本を返していないのを思い出して、時間もあったから返しに来て……

「部活…」
「大丈夫です、すぐ行けば間に合いますよ」

テツヤが言い、ほ、と少し安堵する。

しかし自分で自身の健康管理が出来ないなんて失態だ。
最近部活や勉強、その外のことに追われて疲れていた。
気をつけなくては。

呼びにきたのがテツヤだったからまだいいものの、他の奴が呼びにでも来ていたら屈辱もいいところだ。

「…何か、夢でも見ていたんですか?」

ふと、テツヤが言う。

「…どうしてだ?」
「とても気持ち良さそうに寝ていたので。いい夢でも見ていたんじゃないかと…」

そんなに自分は気持ち良さそうに寝ていたんだろうか。
少し思考を巡らせてこう答える。

「…思い出せないな」

確かに、夢は見ていた気がする。
でもどんな、と追求されると分からない。

「…そうですか」
「でも」

テツヤの返事の後すぐに続ける。

「いい夢だったのは確かだ」

少し笑って言うとテツヤは俯いた。

「?どうした」
「…いえ、なんでもありません」

何かあるはずなのに。少し気に喰わなくて俺はテツヤを壁に追いやって腕をつき、逃げ場をなくす。

「テツヤ、俺の言うことは絶対って分からないかな?
 何もないはずないだろ、早く言え」

ふっ、と耳に息をかけてやれば少し声を出して真っ赤になったテツヤ。
可愛い。ただ可愛いとしか言い様がない。

「…っ、赤司君、にそんな顔させる夢が少し、羨ましくて……」

目をぎゅっと瞑って真っ赤になった顔で言うテツヤ。
…それはつまり

「ー…嫉妬した、ってこと?」

わざとテツヤが言わなかった言葉を目の前で言ってやる。
そうしたらテツヤの顔がより紅くなることは目に見えている。

「…っ、は…い」

その言葉、その表情に嬉しくなってテツヤを解放する。

「〜っ、早く行きましょう。遅れますよ」

少し怒ったようなテツヤ。
可愛いがこのまま放っておくのも厄介なので僕は先程思い出した「あること」をテツヤに言う。

「テツヤ」
「…なんですか」

むす、とテツヤが言う。
余程恥ずかしかったのだろうか。

振り向いてくれないので力任せに引っ張って柔らかそうなテツヤの唇に吸い付く。

テツヤは驚いたように目を丸くしている。
その顔も良い。

「ー…さっきの夢はな」

唇を離し、再び紅くなっているテツヤに言う。

「テツヤの夢だよ」


dreaming×dreaming
僕はいつでも君のことを考えている





初作品。
寝てる赤司くんください。
赤司くんがどんな黒子の夢を見ていたかはご想像におまかせしますw


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