※赤黒、黄黒、青黄表現あります
不快に思う方はバックをお願いします










「あーあ、俺黒子っちのこと好きでいればよかった」

ある日、黒子はバスケ部の練習試合でたまたま東京に来ていた黄瀬とマジバで遭遇した。そのまま何故か相席することになり、少し他愛のない話をしていたらそう告げられた。

「…はぁ、」
「うわ、反応薄っ。俺、黒子っちのこと好きだったんスよ?」

黄瀬は黒子の反応に苦笑しながらそう口にした。黒子はその言葉に対して知っています、と無表情で返し、驚きを隠せずにいる黄瀬をものともせずさらにこう続けた。

「ボクだって片思いしていた身なので、君の気持ちくらい見ていたら分かります」
「…で、知らないフリしてたんスか、悪趣味」

黄瀬は少し強気な言い方で黒子に伝える。すると黒子は心外です、と口にして椅子に深く座り直した。

「君の気持ちを分かっていても、どうしようもできなかった。あのときボクが中途半端な情けを君にかけても、君に失礼です。だから君のことは彼におまかせしちゃいました」

これがあのときのボクにできた精一杯の優しさです、と黒子は言うとバニラシェイクを飲み始めた。黄瀬は少し下を向き残酷、と小さな声で呟いた。

「で?俺が青峰っちとくっついたからすべては黒子っちの計算通り、って訳スか」

少し皮肉混じりにそう黒子に告げると黒子は真面目な顔をして黄瀬に言った。

「そんなんじゃありません。ただ純粋に、君には幸せになってほしかったから、でも、ボクは君を幸せにできない、ので、」

だんだんと震えていく黒子の声。そのとき黄瀬はやりすぎた、と思いとっさに謝罪の言葉を告げる。半ば泣きそうな表情をしている黒子に黄瀬は必死に謝ってなんとか許しを乞う。黄瀬は安堵の息を漏らし、こう言った。

「こんなとこ赤司っちに見られたら死んでたっスね、俺」

へら、と力無く笑いそう黒子に言った黄瀬は窓から見える外の景色を眺めながら黒子にそう伝えた。

「黒子っちは俺の気持ちを捨てて赤司っちと幸せになれたんスか?」

そう。今でこそ笑って話すことができるが、昔、中学の頃はこんなこと考えられなかった。
黄瀬は黒子が好きで、黒子は赤司が好きで。漫画に出てくるような片思いをしていた。男だし、そう簡単に思いを口に出来なかったから尚更辛かった。あるとき、青峰が黄瀬に思いを寄せているのが発覚してそこからまた関係が拗れていったのだっけ。
黄瀬が意識を昔の苦く青い思い出におとしていると黒子は黄瀬に訊ねた。

「黄瀬君は、どうなんですか」
「え」

黄瀬は自分が黒子に訪ねていたものだから逆に返されたことに驚きの声を漏らした。

「ボクへの思いをふっきって青峰君と幸せになれましたか」

黄瀬はその言葉に今までの彼との思い出がフラッシュバックする感覚がした。
あのときの自分自分の心に限界がきて、あのときは青峰に誰でもいいから愛してほしいと言った気がする。誰でもよかった。愛してくれるんだったら。そんな自分の滑稽な姿を青峰は笑うでもなく咎めずに受けとめてくれた。今思えばその言葉が、行為がどれほど青峰を傷つけていたか。
いずれ黄瀬は青峰の不器用な優しさに愛しさを覚えて、黒子への思いをふっきることができた。

「…あの人なんてただのしょうもない巨乳好きっスよ」

黄瀬はへら、と笑って黒子を見たが真剣な表情でこちらを見る黒子に黄瀬は小さく答えた。

「超幸せっスよ」

黒子はその言葉を聞いた瞬間ふわりと笑いよかったです、と呟いた。黄瀬はなんだか自分がうまくのせられたような感覚してならなくて黒子っちはどうなんスか、と再び訊ねた。

「…ボクは君の気持ちに応えられなかった」

知ってるっス、と黄瀬は言うと黒子は黙って聞いて下さい、と少し強気な言い方をした。

「だからボクは君の気持ちを無駄にしたくなくて、幸せになろうと思いました」

そう告げた黒子の表情は心なしか曇っていて、黄瀬はもしかして、と言いかけたが黒子によって止められた。

「…難しいですね、でも、大丈夫です、ありがとうございます」

心配そうな顔で黒子を見る黄瀬に黒子は大丈夫ですよ、と言い力無く笑った。黒子はお礼を告げてそのまま席を立とうとしたが、黄瀬が待って黒子っち、と言い黒子は黄瀬の方を見る。

「あ、の」
「はい」
「なんかあったら、相談のるからあんまり一人で抱え込まないでほしいっス」

黄瀬はしどろもどろになりながらそう伝えた。黒子は目を丸くして黄瀬を見たが、すぐにいつものおちついた表情に戻った。

「…ありがとう、ございます」

黄瀬と黒子が店を出るとそこには店の前を歩いていた青峰がいた。黄瀬も黒子も青峰も目を丸くして驚いた。先に声をあげたのは青峰のほうだった。

「おう、テツ。てか黄瀬!!おせーんだよ、俺ん家くるとか言ってたのに来ねーから探しただろ」
「ちょ、黒子っちの前でそういうこと言わないで!!」

黒子そっちのけで声を荒げて口論する黄瀬と青峰。黒子はそんな二人を見て小さく微笑した。

「じゃあ、ボクはこれで」
「あ、そーだテツ」

帰ろうと身を翻した黒子に青峰が声をかける。黒子はなんだと疑問に思いながら青峰と黄瀬のいるほうに振り返る。

「赤司が悪ィって言ってたぜ」

それを聞いた黒子の顔はとても嬉しそうで、青峰にお礼を告げると黒子は嬉々とした様子で帰っていった。

「…青峰っち、赤司っちと話したんスか?」
「あーまあな」

帰るぞ、と青峰はぶっきらぼうに言い自然と繋がれた手に黄瀬は微笑みながら青峰の手を握り返した。



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不完全燃焼感が半端ないですごめんなさい…
一度書いてみたかった話なので満足しました
駄作ですが


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