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◎笠松と黄瀬 (2012/07/30)

黄瀬の様子が、おかしい。

うまく言葉に表現できないが、なんか、キョドってる。

やけに俺の方をちらちら見てくるし、かといって目を合わそうとしない。
ぱっ、とすぐにそらす。
話し方もどことなくぎこちないし、なんだ、キョドってるっていうより、避けてる…のか?

「黄瀬の様子?あー確かにおかしかったかもな」

部活終了後、制服に着替えながら小堀に聞いてみる。
ちなみに先程森山に聞くと、彼女でもできたんじゃないか、と最もあいつらしい答えが返ってきたので、あまりあてにならなかった。

「やっぱりそう思うか」
「ああ。お前に対する態度だけなんかぎくしゃくしてたよな」

当の本人はモデルの仕事があるから、とか言って部活を早めに帰った。

「明日には直ってると思うけど、気になるんだったら本人に聞いてみろよ。そしたら分かるだろ」
「そうだな…」

俺はそう答えて、最初から小堀に聞けばよかった、と思った。

「あ、そうだ笠松ー…」














…とは、言ったものの。
果たしてどうしたらいいだろうか。

放っておくのがよいのかも知れないが生憎そうもいかない。
俺は黄瀬とは…恋人、だし、放っておいくのはいけない気がする。

喧嘩…した覚えはないし、ぎくしゃくするようなことは何ひとつ起こってないと思うのだが。
俺は帰り道を歩きながら携帯を手にし、黄瀬に連絡しようかしまいか考えている。

すると急に携帯が鳴りだし、驚いて思わず落としそうになった。
メールを受信したらしく、相手は、黄瀬。

不信に思いながらメールを開くと、そこには意外な文が。






『そうだ笠松、今日誕生日なんだろ?』
『あ?まあな』
『おめでとう』
『おう』





誕生日、おめでとうございます、と。
それしかなかったが、随分熱のこもった文だった。

もしかして黄瀬は、今日ずっとそれをいうためにあんなに不信な行動をとっていたのだろうか。

どうせ黄瀬のことだ、恥ずかしいだとか緊張するだとかで結局言えなかったのだろう。

もし黄瀬が俺にこの言葉を言うためにおかしかったのなら、凄く、こそばゆくて嬉しい。

俺はおもむろに携帯から電話帳を開き、電話をかける。
発信は、もちろん黄瀬。

「黄瀬?あーゆうのちゃんとお前の口から聞きたいんだけど」

電話ごしの黄瀬の声が、凄く近くで心地良く聞こえた。









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笠松先輩お誕生日おめでとうございます…!
1日遅れのくせに、しかも小話で、しかも誰それ状態でごめんなさい…!
しかも黄瀬間接的にしか出てないですね、本当ごめんなさい。
4拍子そろっちゃってます…


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