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◎黄瀬と黒子 (2012/08/01)


「すきっス…すきなんス、黒子っち……」
「………」

ぎゅ、と痛いくらい抱き締められて。
すきだと繰り返す声は、泣いているのか震えている。

「俺じゃ、ダメっスか…?」

顔を少しあげたらやっぱり泣きそうな黄瀬君がいる。
何か言おうと口を開くと同時に黄瀬君に唇を奪われて。
舌を絡ませながらのキスの合間に、すきだ、すきなんだと繰り返し伝えてくる。

分かった、分かったから。

お願いだから、やめてほしい。
お願いだから、これ以上洗脳しないで。

言いたいのに、何も言えずに降ってくる口付けを受けとめる。
やがて口付けも終わり、黄瀬君がボクの肩に頭をのせて呟く。
表情は、見えない。

「っどうして、俺じゃダメなんスか…」

何か言いたくても、何も言えない。
ごめんなさいも、ありがとうも、やめてほしいも、何か違う。

ボクが何も言えずに俯いていると、黄瀬君はごめん、と言ってまた繰り返す。

「すきだよ」

と。

すきだよの声に、何も言えない自分がどうしようもなく滑稽で、笑うことすら出来なかった。










青(→)←黒←黄。
黒子っちは青峰がすきで、でも青峰には気づいてもらえなくて全然報われてなくて(報われてるんだけど)、
黄瀬がすきだと言ってくれて、傷心につけこまれて、自分が誰をすきなのかわからなくなる黒子っちの話です。
わかりにくくてすいませんでした本当……。

こんなに話固まってたなら、短編でやれば良かったとか思ってないです、はい。



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