◎※及川先生と影山♀(※hq) (2014/04/29) 一体何が起きているのか。自分でも理解不能だ。塾近くのコンビニで、興味も無い雑誌をひたすら読んでいる。もちろん内容は一つも頭に入っていない。手汗で雑誌の持っているところが湿ってきた。なぜこんなに私は焦っているのか。端的に言えば、及川先生から家に来いと言われた。勉強する、そう言われて。そのままなんとなく流されて、コンビニに車を回すから待っていてくれと言われて今に至る。ぐるぐるぐるぐる頭がまわって、もうどうすればいいのか分からない。 「飛雄ちゃん」 後ろから及川先生の声が聞こえて、勢いよく雑誌を元に戻す。そのままなんとなく及川先生の後ろについて、及川先生の車の後部座席に乗ってしまった。それだけでも十分緊張というか、寿命が縮む思いだったのに、及川先生は笑い出したからもう訳がわからない。 「ふ、そんなあからさまに緊張しなくても」 「!!緊張なんかしてませんっ!」 見え透いた嘘だ。本当は今にも心臓が飛び出そうなくらい音を立てていて、手は震えているような気がする。くすくすと笑ってたいた及川先生はそのまま前を向いて、先程とは違う真面目な声色で俺に言った。 「…飛雄ちゃんに賭けてたんだよ。助手席に乗ったら、そういうつもりで家に呼ぶことにしようって」 顔の熱がまた上がる。後部座席に乗ってよかったと、心から思う。ザンネンだなぁ、と呟いた及川先生は振り返って私の方を向いた。その表情がどこかさみしいような、安心しているような表情だったから、私は少し胸が痛くなった。無言のまま車は発進して、及川先生が入れたCDだけが車に響いていた。 ∴ちぐはぐな視線をかわして title by 少年チラリズム 短めですが今回はここまでです。 ついに及川先生の家に行った飛雄ちゃんは、無事貞操を守れるのでしょうか。作者のわたしもわかりません。 |