小話 | ナノ


◎及川と黒尾※hq (2013/05/25)




※事後です…
※キス・ホモの日用…ですが…甘さはないです…ごめんなさい…
※本当ごめんなさい…







なんとなく、背中が冷たい気がして目を閉じたまま耳を澄ました。いつもの寝方じゃないからか、眠気より怠さが多かったのか、俺の頭は完全に覚めてしまった。だからと言って目を開けることはなく、耳を澄ませて隣に寝ていたはずの奴の動く音を聞く。僅かに携帯の電源を入れる音がしたが、その後すぐに機会音は止んでしまった。マナーモードにでもしたのだろう。いよいよ音だけでは奴の行動を推測するには難しくなり、俺はゆっくり起き上がった。無理をした身体が悲鳴をあげているのが分かる。

「あ、クロちゃんおはよー」
「…ん…」
「ごめん、起こしちゃったね」

そう言って俺の頭をぽんぽん撫でて、まだ寝てなよって言いながら起き上がった俺をゆっくり寝かせた。及川からは風に揺れてシャンプーの匂いがした。

「…シャワーあびてきたのかよ」
「うん、早くに目が覚めちゃってさー」

喉はガラガラで、まるで風邪の引きはじめのようだ。そんな俺の声を聞いた及川は苦笑して、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し俺に渡した。

「ごめんね、昨日」
「……」

何も言わずにそっぽを向くとため息が聞こえて、ベットのスプリングが響いた。及川がベットの縁に座ったようだ。マナーモードを解いた及川の携帯からは、リズム良く文字を打つ音が聞こえてくる。
ちら、と後ろを振り返るとどうやらメールをしているようだった。まぁ、誰としているかなんて分かりきったことなのだが。

「クロちゃん今日大学は?」
「…午後」
「そう。じゃあ俺もう帰るね」

またベットのスプリングが鳴った。服を着る音が聞こえて、身支度をする及川。後ろを向いていてよかった。きっと今及川を見ていたら、胸に渦巻くどす黒い何かで埋れてしまうところだったと思う。シーツをぎゅっと握って、身体を縮こませた。及川がこちらに歩いてきて、俺の唇にキスをした。

「またね、クロちゃん」

本当にこいつは狡くて狡くて、大嫌いだ。俺が及川の「またね」をどれだけ待っているかなんて、あいつはとうの昔に気付いているのに。あの言葉がある限り、この歪な関係は終わらないと、あいつは俺に示しているのだ。どうせあいつは家に帰ってもう一度風呂に入って、着替えて女のところに行くのに。俺は何度、その光景を見て、胸に渦巻くどす黒いものを掻きむしったのだろう。

バタン、扉が閉まる音が聞こえる。あの扉を開けたら俺と及川は他人同士になって、街ですれ違う通行人になってしまう。早々に出て行ったあいつの温もりを抱きしめるように、俺はまたシーツを握りしめて熱い瞼を閉じた。



▽どうせ突き放すくせに





テスト週間でがんばっている◯月ちゃんへの応援…!と思って書いたのですが内容が…ホントアレで…ごめんなさい…。


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