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◎赤司と黒子 (2012/10/30)

選択肢をあげて、選んで、他を捨てた。

どれか一つが正しいと、答えはそれしかないのだと思った。間違わないように、壊さないように、たくさん考えて、大事に守ってきたはずなのに、



さよならしか残らないね





目の前で黒子は泣いている、よりも酷い顔をしている。俺の頭なんかじゃ到底分からない、どうやって表現したらいいのか分からない表情で俺を見ている。俺はそんな黒子を見ているのが、その表情は俺がさせてしまって、俺に向けられているものなのだと思うと頭がぐちゃぐちゃになって耐えられなかった。
大事なものは、選択肢を間違わず、大切に、慎重に、守ってきた。例え落としてしまっても、取り返した。それが絶対だった。当たり前だった。なのに。
だめです、と黒子は言った。元には戻れないんです、と。その言葉の理由を俺は頭の中でずっと反芻していた。答えは全く出ないけれど。

「…俺は、間違えたのか?」

黒子に訊ねた。黒子は大事だ。大切だ。だから、間違わないように選択肢をたくさんあげて、選んで、要らない答えは棄ててきたのに。俺は何を間違ったのだろう。

「なにも、間違えてはいませんよ」

黒子は言った。泣きそうな顔をしながら、俺をなだめるように、そう言った。黒子の白くて細い手が俺の頬をそっと撫でて、その温かさに胸がしめつけられて目頭が熱くなるのを感じた。そんな俺を見て黒子は静かに微笑んだ。

「なにも、間違っていませんよ。でも、駄目だったんです。ごめんなさい、ごめんなさい赤司君」

だから泣かないで、そう言われて初めて、自分が泣いているのだと分かった。俺を抱き締める黒子も震えていて、俺は黒子を強く抱き締め返した。
選択は、間違ってなかった。俺は黒子のために、自分よりも優先していた。でも、それがいけなかったのだろうか。黒子の言うとおり、間違えてはなかった。でも、このような結果に至ってしまったのは俺のそういう「思いやり」と考え込んだ愛が、黒子と俺を駄目にしたんだろう。多少、自分のエゴや我が儘を通してもよかったんだ。黒子にこうされることでしかそれに気づくことが出来なかった俺は、なんて愚かなんだろう。黒子をそっと離し、しっかりと目を見ていった。

「まだ、間に合うかい」

もう遅いかもしれない。でも、俺の間違った思いかたを気づかせようとしてくれた黒子のように、俺も勇気を出して黒子に伝える。間に合わなかったとしても、この言葉を伝えるのに意味があると、そんな気がする。そう俺が言うと黒子はぎゅっと抱き締めて、消えてしまうような声でこう言った。

「間に合いますよ」





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久しぶりに赤黒!
やっぱり赤黒好きだな、と思いました(^O^)
次は甘いのかきたいです

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